建築はネットのみでマネタイズできるのか

パウレタさんの建築礼賛

建築作品感想

サンカルロ病院礼拝堂~美しい結晶のような祈りの場~

更新日:

イタリアのミラノ郊外にあるこの建物は、大きな病院の敷地内に建っています。そこには一般の人たちも自由に出入りができ、施設とも通路でつながっています。その姿は、機能性を重要視した近代的な病院施設に対比するかのように、美しく 、まるで工芸品のようなデザインで、全く別の雰囲気が漂っていますね。この建築の設計を手がけたのは、ミラノを代表する建築家の一人であるジオ・ポンティ。彼は雑誌「ドムス」の創刊者としても知られ、インテリア・家具・インダストリアルデザインと広範囲にわたってデザイン活動をしていました。そんなこの作品は、建築を統合的な芸術と捉えた彼の建築の代表作となっています。

さて、よく見ていきましょうか。一般的にイタリアの礼拝堂は、上空から見たときに十字架の形に見えるように設計されているものがほとんどです。しかしながらジオ・ポンティは六角形が建築のモチーフになっています。これはポンティ自身の「建築は結晶である」とういコンセプトを具現化した形とのこと。どうやら彼は六角形になにか思い入れがあるようです。そんなことで、この建築の平面の基本形は細長い六角形で構成され、開口部にもその形態が取り込まれています。

礼拝堂の外観はそういうことで、とても特徴的。外壁はうすい四角錐型のダイヤモンドタイルで覆われていて、そこからなる陰影が印象的ですね。北側の壁面には六角形の開口部が並んでいます。やはり六角形にこだわっていますねえ。かなり不思議な感じを醸し出しています。東西に細長く、南北にエントランスがあり、南北面から見た印象は建築というより、結晶のような美術品という感じがします。南面ファサードの開口バランスやプローポーションも美しいです。南北で印象が異なりますねえ。西側の窓も多様なガラスブロックをはめ込んだ表現もまたステンドグラスのようで美しい。それを強調するような木が周りを囲む東側も同様な造形になっています。

内部に入ってみると、そこは船の底のような構造になっていて、ノアの方舟を連想させます。東西に奥行きのあるこの空間が、ほんと船の船底にいるような不思議な感覚。コンクリート打放しからなる柱が垂直性をより強調し、三角形のトラス梁がまたリズミカルです。南北の開口は大きさを変え、光を適度に取り込むようにもうけられています。北側は大きな六角形窓が並び、建物の特徴を強調し、そして落ち着いた光が入ってきます。南側はスリットや小窓が空間に多様な表情を与え、複雑かつ明るい光によって演出されています。横のスリット窓と縦の窪みに聖人像が並んでいて、それが光を共有しているようですね。正面の祭壇の素材のセレクトから、そして照明器具にも密度の濃いデザインがされていて、その他一つ一つの造形の完成度がすばらしく高いです。その細部まで工芸品やプロダクトのように丁寧にデザインしているのがわかります。なので見ていると、そこには多くの美しい発見に満ちています。それらの集積が、病院に来られた人たちの祈りの場としての結晶のような空間をつくりあげているんですね。

建築:サンカルロ病院教会

設計:ジオ・ポンティ

建築作品を見た雑誌:SD6803

建築のある場所:イタリア、ミラノ

-建築作品感想

Copyright© パウレタさんの建築礼賛 , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.