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パウレタさんの建築礼賛

建築作品感想

ボア・ノヴァのティーハウス~海岸の岩場の風景と共にある建築~

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ポルト市内から車でおよそ30分ほど北上したレサという町。そこにあるレストランは、1963年にポルトガルを代表し、ポルトを拠点にする著名な建築家アルヴァロ・シザ最初の建築作品であり、シザの出世作となった作品です。この建築は、近年、シザの設計によって改修工事が行われ、高級レストランになり再オープンしました。小規模な建築であるにも関わらず、50年以上経た今でもこの地域の代表的な建築として存在しています。ちなみにレサでぴんときた方もいるとは思いますが、この建築はシザの初期の代表作である、レサのスイミングプールからも近いです。

そんなこのレストランは、大西洋に突き出した岬の岩場に位置し、そこには印象的な小さなチャペルが隣接しています。その逆方向には灯台も望むことができます。そこに建築は低くへばりついたというか、まるで海岸沿いの岩場の間に挟さまれるように建っています。岩場の上端とレベルのそろった屋根が海に向かって伸びているので、あたかも岩場に寄生している、いや、自然の一部としてその地形に組み込まれているように見えるんですよね。どこまでが建築で、どこまでが自然の岩なのかがよくわかりません!

そんな近づいていってようやくその一部が見えてくる屋根は、軒が深くそして分厚いのが印象的ですね。建物の屋根はポルトガルの伝統的な民家のようにこの地特有の茶褐色の瓦で葺いてあります。瓦はポルトガルのどこにでもある材料なんですが、さすがその使い方が絶妙です!その他建物に使っている素材はポルトガル産の素朴な材料が使われています。

建物は地形の段差を活かしたつくられていて、レストラン部分はエントランスの階下に配置されています。そしてこのアプローチがいいんですよ。訪れたお客さんが海に向かって白い階段を上ると、その途中で水平線が現れます。そして逆方向に折れるとエントランスに着きます。

エントランスの扉を開いて階段を下りると右手にレストランエリア、左手にカフェエリアがあります。深い軒のせいか、店内はけっこううす暗くてそれがまたいいですね。レストランの内部はトップライトからは陽が降り注いでいます。陰影の濃い内部空間はシザの建築の特徴でありますねえ。そして窓からの景色。目の前に再びあの広大な水平線が姿を見せます。建物は入口より1階降りた場所に設計されているので、そこでは海と空との境界に出会う演出がなされています。ドラマチックですねえ。水平に大きく伸びる窓と、勾配天井が、窓際に近づくにつれて低くなり、外の低く深く抑えられた軒が風景を切り取り、景色だけがさらに浮き上がります。そこには気持ちの良い緊張感が空間に満たされています。様々な窓のレイアウトは絶妙で内外の境界を曖昧にしています。それらは目的に応じてデザインがなされています。窓のレイアウトと屋根の形状がこの建築をつくりあげていますね。そのほかにも木とコンクリート、タイルなどの質感が豊かな空間に、シザの手によってデザインされた椅子やテーブルなどが置かれ、それらがより居心地のいい空間にしています。チークかな、その羽目板貼りの天井がインテリアを映し込みこんでいますね。とても美しいです。

カフェテラスは、分厚く深い軒下空間が海と岸壁の環境を取り込んでいます。カフェに入った瞬間、軒先のラインと水平線が重なって海面だけが見えます。そして椅子に座るとどこまでも続く水平線が一気に視界に現れます。最高でーす。

海岸沿いにある建物なのでそのまま朽ち果てていくのはいやだなあと一時閉店を聞いたときは思っていましたが、シザの手によって改修され、リニューアルオープンしたニュースを聞いたときは本当にうれしかった!これからも地域に愛される建築であり続けてほしいなあ!!

建築:ボア・ノヴァのティーハウス

設計:アルヴァロ・シザ

建築作品を見た雑誌:a+u アルヴァロ・シザ

建築のある場所:ポルトガル

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