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パウレタさんの建築礼賛

建築作品感想

国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館~静寂に平和をおもう場所~

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この建物は、194589日の原子爆弾により亡くなられた方々に対する追悼を表し平和を祈念するとともに、この事実に関する理解を深め後世にまで伝えていくことを目的として建てられた施設です。館内には名簿を保存する追悼空間を中心に、被爆に関する手記や遺影、関連図書類が閲覧できる学習コーナー、来場者が平和のメッセージを記帳する平和・交流コーナーからなっています。

原爆資料館の敷地内につくられたこの建築の地上部分は、樹木によって囲まれ、水が静かに流れ落ちる円形の水盤、そしてそこに突き出た半透明な2つのガラスの壁のみとなっています。その水盤は原子爆弾によって亡くなった犠牲者が求め続けた水を現し悼んでいます。夕暮れになると水盤の中にガラス壁とおよそ7万個(長崎の原爆で亡くなった方の人数)の光ファイバーによる明かりが灯ります。水が満ちあふれる中で、光が水とともに揺らめき、水面は荘厳な追悼空間となります。

建築は、そのほとんどすべてが地下に埋設されています。訪問者は水盤の周囲を歩いて地下の追悼空間にアプローチしていきます。回廊を歩いていくと、周囲の建物は隠され、空と周辺近くの山だけが見えるように計画されています。建物全体が地下に埋め込まれ、周囲を歩いていくことでアプローチを長くとりながら、来訪者の意識を少しずつ静寂な瞑想へと導いていく空間構成になっています。

地下2階にある追悼空間は、林立する高さおよそ9メートルにも及ぶ12本のガラス柱、そしてそのガラス越しに地上から入り込む光が荘厳な印象を与えています。ガラス柱は爆心地方向の軸線上に並べられていて、その中央に追悼空間が設けられています。ガラス柱は地上の水盤上のガラス壁につながっていて、地上まで突き抜けています。地上にあるこの2つのガラス壁からおよそ250メートル先に爆心地があります。12本の柱は6本っずつ別れて建っている真ん中を軸として、その向こうには亡くなられた方々の名簿が納められています。そこには静寂と黙祷の空間が広がっています。

その空間に身を置いてただそこにある光を感じながら、この長崎が世界で最後の原爆被災地となることを祈り、そして願います。

建築:国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

設計:栗生明+栗生総合計画事務所、国土交通省九州地方整備局営繕部

建築作品を見た雑誌:新建築 20038月号

建築のある場所:長崎県

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