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パウレタさんの建築礼賛

建築作品感想

多摩美術大学付属図書館~アーチ空間と家具の妙!~

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この建築は、多摩美術大学八王子キャンパス内に配置されている図書館です。自然も感じられる環境のこのキャンパス周辺は、コンクリート打ち放しの新築校舎が建てられています。新しい図書館は、キャンパスのシンボル的存在なること、そしてアーティストや建築家などの作品や資料が保存される既存図書館と同時期に完成したメディアセンターと共に、コミュニケーションの核となる場となることが求められました。

正門を入って、緩やかに続く坂を登っていく途中にの図書館はあります。敷地はなだらかなスロープ状になっていて、建物がその敷地環境と調和しています。アーチ構造を主体とした建物の外観は、平面的に緩やかに湾曲していてガラスとコンクリート壁面がつるっと面一となってなめらかに曲線を描いています。外壁のガラスとコンクリートが、何か同じような質感を持っているような不思議な感覚になります。施工精度高いわあ!

この空間を形成しているアーチの連続体は内部空間にやわらかな流れをつくりそれが空間全体を印象的なものにしています。緩やか分節されているような、そうでないような。視覚的に空間的に連続しているのですが、アーチによって優しく囲まれている感じもます。それが空間に安心感みたいなものを与えていますアーチというと、一見古典的形態をモチーフにしたような印象を受けますが、実際に内部を歩いてみるとあまりそんな感じを受けないです最新技術や施工精度によって、交差したアーチの躯体は細く薄くつくられています。これによって、アーチの存在ものものが抽象化され、意外と新しい空間感じてしまいましたそもそもアーチという空間要素の根源はなんだったのかという原初的な部分にたちかって空間の検討がなされているような気がしました。そこまで考えないとこんな抽象的な表現にたどりつかないんじゃないかな~。

ちなみにその構造は、とても薄い200ミリ厚の壁ができています。芯にスチールのプレートを入れて、その両側に現場でコンクリートを打つという構造になっています。コンクリートは耐火被覆のような役割をも担っています。施工たいへんだったでしょうね!スチールのプレートは薄いから、裸のときはだるんだるんしているはずです。だからコンクリートを打設するときはかなりの注意が必要だっただろうなあ。そのコンクリートですが、建築はとてもきれいなコンクリートに仕上がっています。すばらしい!

建物の入口から内部に入ると外から続く緩やかなスロープが屋内にも続いています。つまり建物の床が緩やかに傾いています。この1階の空間アーケードギャラリーと呼ばれるフリースペースになっています。そこは学生の作品展示ギャラリーやレクチャーの場所として使われていて、図書館に用がなくても通り抜けが出来るような場所となっています。キャンパスのなかでそういう場所があると素敵ですよしかも図書館なら尚いいですね!!このアーケードギャラリーと図書館はガラスパーティションで隔てられていて、図書館のほうもオフィススペース以外は、勾配のついた床になっています。

1階から有機的な階段を上ると、2階メインの開架された閲覧室が広がっています。ガラスパーティションによって開架閲覧室と閉架書架が分けられていて閲覧エリアから閉架書架の中を見ることができます。ワークショップセミナーを行うスペースもこの中に確保されています。

さて、そんな形式的になったり、装飾的になりそうなアーチ空間に、藤江和子氏による家具のデザインがきいています!これまじでいい!!図書館内にあるほとんどの家具デザインはオリジナルデザインです。アーチを家具がするするっとくぐり抜けたりするような曲線は、その空間を限定しない自由さがあります。

階の家具のレイアウトは、床の勾配に対しての難題を鮮やかなデザインでクリアしていす。椅子の足の長さが傾斜にあわせて変わっていくわけです。まっすぐなテーブル斜めの床に配置するとその家具の高さが変わます。そうなると必然的に坂の上からは、配置された家具やそこを使っている人たちなどを全体として見下ろせるわけです。なんか不思議だ~。おもしろい!

そして2階の家具のレイアウトは、アーチによって緩やかに分節された空間の中をにょろっとしたリボンの本棚が縫っていくようなレイアウトになっています。分節されながらも流動的な空間である建築のコンセプトが家具によってより明快に表現されています。その本棚と本棚の間に囲まれたなかにソファーや椅子・テーブルが配置されています。そこに座って本を読むと、ちょうど良い高さの本棚に囲まれています。そして席から立ち上がると今度は全体が見渡せることができるようになってます。座ると落ち着いて、そして立って歩くと、図書館のオリエンテーションがわかるというのはいいですね。こっちの家具も面白くて好きだなあ、アーチ間に、鉄板でつくられた書架が入っています。そうすることによって壁ではないけれど本が置かれて、ゆるやかに分節されていて、透けた感じになります。遊び心がありますね!

おそらく建築を設計する側としては、このアーチのグリッドからなる平面を見たときにそのグリッドからどんなゾーンができて、どう分割するかという頭になってしまうと思うんですよね。その考え方に偏りがちになるはず。

そんな中デザイナーは、アーチからなるグリッドを人の動きといっしょに想像しながら素直に先入観なしに手を走らせてみたんじゃないかな。私は勝手にそう感じました。グリッド柱で分節されそうな空間になめらかな連続性を与えているんですよ。そのバランスが結果、この建築をすばらしい空間にしていると思います。家具の曲線と独特なアーチが連続する空間が秩序を超えて存在していて、なんか自由な気持ちになれるなあ。

建築:多摩美術大学付属図書館

設計:伊東豊雄建築設計事務所

建築作品をみた雑誌:GA JAPAN8587

建築のある場所:東京都八王子市

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