バウムシューレンヴェク・クレマトリウム~抽象化した森のような建築空間による儀式~

ドイツはベルリンの中心部から南東側の郊外にある火葬場の建築です。ヨーロッパという、キリスト教の社会において、火葬の歴史というのは比較的新しいとのこと。ここ100年くらいらしいです。たしかに土葬っていう勝手なイメージも私がありましたね。でもあれですよね、人口の増加や土地不足や、もちろん衛生上などの理由でそうなったのでしょうね。そういうわけでこの建物は、今からおよそ100年くらい前にベルリンとしては2番目の火葬場として完成し、そして最近っていってもけっこう前か、1999年に再建されたのがこの建物とのこと。

トレプトウ地区にある駅から15分ほど歩いていくと、両側に広大な墓地が広がりはじめ、この火葬場の門が見えてきます。その三角屋根からなる古い門を抜けて歩いていくと、る幾何学的なデザインを持つ、打ち放しコンクリートの建物が現れます。堅い感じのかっちりした外観で、とても閉鎖的な印象があります。建物に入り組んだキャノピー部分の上部には、スリットが入っていて空間が分断されていて、そこから生まれる光の筋がまた印象的です。

建物の中に入ると、そこはコンクリート打ち放しの静謐な空間。シンメトリーに作られた平面による象徴的空間に対して、その内部には樹木を抽象化したようなコンクリートの円柱がランダムにいくつもそびえ立っています。森を建築化したみたいな、そんな感じですね。その抽象化された森の中には、丸い水盤が床に埋め込まれています。森の中に存在する泉のようでもありますね。そしてその円柱の上部にある円形の開口部を貫通して、その柱の頂部がぼんやりと光っています。これがなんとも印象的です。まるでろうそくが灯っているかのようです。そこからこぼれ落ちる光がこの空間に神聖さを与え、幻想的で、荘厳で、崇高な雰囲気をつくりだしています。無機質なコンクリートが光によって、柔らかで深淵な存在へと変換されていますね。ちなみにこの柱がそびえるホールは、建築家が神殿やモスクからインスピレーションを受けて設計したとのこと。この空間のまわりには葬儀が行われるチャペルが入口側に2つあり、もう1つは奥に大きなものがあります。これらは外側に自動で調整ができるルーバーがもうけられていて、日の光を調整することができます。

母なる大地へと回帰する故人を見送る大切な場所。まだ歴史が浅い火葬という儀式を、この建築は母なる大地へと回帰する故人を見送る美しい詩的な空間として演出することで、建築の空間に儀式性をもたせています。

建築:バウムシューレンヴェク・クレマトリウム

設計:アクセル・シュルテス+シャルロット・フランク

建築作品をみた雑誌:a+u 20168月号

建築のある場所:ドイツ、ベルリン

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする