Viversburgビジターセンター~建築を風景化するということ~

オランダ北部にある19世紀ごろに造園された広大で美しい公園に、ひっそりと佇むリノベーションされたサマーハウス、そしてそれに連結するガラスに覆われたビジターセンターがあります。サマーハウスには、公園の管理事務所が2階にあり、1階部分にはカフェや多目的スペースなどが配置されています。新しくつくられたビジターセンターにはレクチャーや展覧会が行われています。今回は主にガラスのビジターセンターを取り上げますね。しかし、Viversburgってどう読むんだろうなあ。。

このガラスによる建築は、既存邸宅や池、庭園や木々などの風景に溶け込みながら配置されています。なんか庭の境界に存在する、という感じです。なぜこんな形状と配置になったかというと、公園自体が歴史的重要文化財として保存対象であったため、建築制限が厳しくかけられていたそうです。既存建物の変更はできないのはもちろんのこと、緑地や散策路のかたちの変更や移動、樹木を切ったり移動することも、ほとんどできないというもの。これはなかなか厳しい。

そんななかで建築家は公園内に広がるそれぞれの環境的要素が切り替わる境界線上に着目し、既存エリアの形状をほとんど変化させずに建物を建てたわけです。建築は境界線をトレースするようにガラススクリーンが立ち上がり、その上に屋根がのっています。3枚の薄い透明なガラスによる壁が歴史的建物や庭園、古い池や樹木を取り囲み、これらの反射する表層が周囲の景観を映し出すことで建物は庭と同化しています。透明な面と面との間に異なる環境が入り込み、あるところでは、2枚のガラスが結びつき1枚となり、 内部空間が消え、風景の中に溶け込むようにのびていきます。 え、何、どうなってんの?って一瞬思いますよ!

そして建築はぱっと見、柱もないし、壁もない。透明なガラスと屋根だけでできているように見えます。構造的な存在感は希薄になり、散策路が公園の中に吸収されるようにゆったりと曲線が続いていきます。建築を構成する要素を最少限に抑え、既存環境そのものが建築を生み出す要素として表現され、曖昧な境界が周辺風景のもつおおらかさに包まれています。

来訪者は公園を散策しながら入口を見つけ、散策路の延長線上のようにわずかな傾斜によるスロープを進んで内部へと導かれます。屋根の高さが視線より低く抑えている場所は、外から見るとその上の向こう側の景色を眺めることができます。内部は床レベルがグランドレベルよりも少し低く設定されていて、椅子に座ると視線の高さが地面にとても近くにあり、まるで森に座り込むかのような包み込まれた感覚になります。

既存の環境が保存されることが前提になっている敷地において、周辺環境そのものが建築の空間をかたちづくる大きな要素となる。それは建築として風景をと らえ、または反対に風景を建築として創造するということなのでしょうね。いやあ、考えさせられます。あ、ちなみにこの作品が掲載されている新建築には、前回ご紹介したSANNAのグレース・ファームズが掲載されています。似ているようでそのアプローチや手法が異なります。見比べてみるとまた、う~ん面白い!

建築:Viversburgビジターセンター

設計:石上純也建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:新建築20179月号

建築がある場所:オランダ

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