グレイス・ファームズ~建築における内外の境界、領域、関係性~

二ューヨークから車でおよそ1時間半ほどの場所にあるこの建築は、 住宅が点在した静かな環境に囲まれた場所にあります。傾斜地となっている敷地内には森や大小の湖、湿地帯などが点在しています。広大な土地ですねえ。そんななかに佇む建築は、キリスト教信者の礼拝のための場所であり、そして地域の人びとのための公共空間として存在しています。クライアントは教会を訪れる人々がつながってコミュニティを保つという、かつての教会が果たしていたような地域の核としての役割をこの建築によって担いたいと考えました。そのため建物は一般の人たちにも広く開かれ、誰でも気軽に訪れることができるようになっています。

建物は、礼拝や多目的に使えるホールが中心的機能として、体育館、食堂、図書室、教室など地域の人びとが活用できる機能が集約し、プランは、静かにすごすためのスペースと多くの人々が集まるパブリックなスペースによって分けられながら、その用途と規模に応じて配置されています。なんかコミュ二ティセ ンターに近い存在ですね。 敷地の中央付近に浮かんだ、木梁架構によるのびやかで大きな屋根に覆われた建物が印象的です。このにょろにょろっていう、龍の道みたいな空間によって、空間同士が近づいたり遠ざかったりしている関係性がいいですねえ。地形に沿って湾曲しながら自由に敷地をまたぎ、周辺の林や急な地形を避けながら、建築はカーブとともにより自然に配置され、建築に取り囲まれるように中庭スペースをつくりだしています。屋根仕上げのアルミパネルは穏やかに日の光を反射しながら 周辺の風景を写しこみ、建築が周辺の景色をとけあっています。

あるスペースからは湖が見えたり、またある部屋からは斜面が見えたり、湿地帯が見えたりと、それぞれの場所で見える風景がかわり、空間と空間、そして庭との距離感がかわっていきます。それらが大きな屋根によって、ひとつながりの空間となっているのがいいですね!屋外のプログラムは、建築がうねっと取り囲む周辺に点在しています。庭をはじめ、アスレチックフィールドやバーベキュー広場があります。屋根の下にある半屋外的な空間にあったり、周りの自然とからみあいながら、それらは存在しています。敷地内を散歩する人がいたり、原っばで休む人がいたりと街の公共スペースのような場所になっています。

建築としての箱を置くのではなく、建築と環境をどうやって同時につくれるか、内外をどう有機的に繋げられるかがこの建築のテーマとなっています。室内の範囲よりも大きく屋根を架けて、内と外の間に中間領域をつくり、各部屋同士をつなげる動線空間にもなっています。 訪れた人たちは半屋外の庇空間を歩いて移動し、そのうねうねのなかで周辺の豊かな自然とその変化を楽しんでいます。自然と建築という人工物は相対しているようで、一体になっています。う~ん。深い。そんなことを考えされられる空間表現になっています。

建築:グレイス・ファームズ

設計:SANNA

建築作品をみた雑誌:新建築20179月号

建築のある場所:アメリカ

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