古河総合公園飲食施設~建築の存在感を否定しながら存在するニュートラルさ!~

茨城、埼玉、栃木それぞれの県境あたりに位置する古河市の、かつてあった沼の復元を中心に計画された市営公園。その中にある休憩スペースです。建物は広大な公園の中にぽつんとあります。あずまやみたいですよね。屋根があり、椅子やテーブルが置かれています。公園の風景に溶け込みながらも、不思議と存在感を発しています。細い柱とうすい屋根、そしてガラスによる透明感は、まるで学生がつくった建築模型のようにも見えます。なんだか危うささえ感じるプロポーションですねえ。

内外部ともに使える休憩スペースをつくってほしいという、市からの要求条件から建築家は、公園という場所から、林なのか建築の場所なのかわからないようなものがつくれないかを考え、この建物の提案へと至ったようです。

全体は東西方向に置かれた直方体のボリュームとなっていて、フラットで薄い屋根と床、その間に100本ほどの細いスチール柱がグリッド状に立てられています。床も屋根も円柱もすべて白く、白い線によって空間が結ばれているようなニュートラルな空間ですね。構造材なのに装飾みたいな軽さがあって、この感覚が奇妙です。細い柱が林のような空間を形成しています。

またガラスのウォールとスライディング・ドアで四周をかこまれた正方形プランのカフェが、林立する円柱群のなかに設けられています。東側に狭いテラス、西側に広いテラスと、左右は外部空間となっていて、真ん中にインテリアがあります。カフェとテラスはガラスで切られていますが、スライディングドアにを開放すると、全体をオープン・カフェとして使うことも可能で、空間が内と外が曖昧なスペースになります。

建築は構造的には、柱で鉛直荷重だけを支え、4箇所にバランスよく、水平力を負担するパネルに見える耐震壁が配されています。そのパネルは鏡面で仕上げられ、外の風景が内部に入り込んでいます。テーブルの上も鏡面になっていて、空や周囲の山や林の風景がこれまた映ったりしています。周囲のさまざまな風景を映し、壁としての存在そのものを、消そうとしていますね。 実際に見える外の風景と、映り込んだ風景というふたつが交わって、これらのインテリアをつくっています。そのなかを風や視線が通り抜け、背景の自然と融合しています。

極めて薄い屋根、壁も、柱も単なる面 、線にまで還元され、それらで組み立てられることで、建築が浮遊感をもって、軽やかに存在しています。さらにランダムな柱の配置が外部空間に対して無方向性が生みだし、空間というものにヒエラルキーのない等価なものが生まれては抽象化され、ニュートラルな立体格子がそこには浮かび上がってきていますね。 建築というものを否定しながら存在する建築とでもいったらいいのでしょうか。う~ん、すごい!

建築:古河総合公園飲食施設

設計:SANNA

建築作品を見た雑誌:新建築19987月号

建築作品がある場所:茨城県

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