国際文化会館~3人の巨匠による戦後モダニズムの傑作!~

六本木ヒルズにもほど近い、鳥居坂に面する小高い丘に建つこの建築は、国際相互理解のための文化交流施設です。おもには宿泊施設、会議施設、レストラン、図書室などで構成され、講演会やシンポジウムなどの会場として使用されるほか、結婚式場としても利用できます。ここは会員制の施設なのですが、誰でも利用することができます。そのなかで庭園を見下ろすティーラウンジは明るくて開放的で長大作氏デザインのテーブルや椅子もまたいい感じです。

敷地は江戸時代に多度津藩京極家の江戸藩邸がありました。明治に入ると所有者が次々と変わり、岩崎小弥太が所有していた1929年には、岩崎家鳥居坂本邸が作られました。戦災により邸宅は被害を受け、財閥解体によって土地は政府に物納された後、ロックフェラー財団の協力もあって、この建物が建設されたわけです。設計を手がけたのは、日本建築界の巨匠、前川國男、坂倉準三、吉村順三のお三方。共同設計というかたちによって、現在の旧館部分が1955年に完成しました。いやあモダニズムの傑作ですよ。しかし巨匠が3人も揃うとその個性のぶつかりあいでたいへんであったでしょうね。実際に図面をまとめていく担当者の苦労は相当なものだったろうなあ。ちなみに1976年には前川國男の設計により旧館の改修と新館の増築されました。

およそ3000坪の敷地には回遊式日本庭園が残されていて、その庭を望むように4階建ての建物が配置されています。この庭も素晴らしいです。岩崎小彌太が名造園家「植治(うえじ)」こと7代目小川治兵衛に作庭を依頼したものです。庭だけは戦災をまのがれたのですよ。よかったあ!

鉄筋コンクリート造ですが、池辺に張り出した釣殿風の建物は平安時代の絵巻物風の様式を取り入れたものです。平面プランは従前の岩崎邸の配置を踏襲し 建物全体は水平ラインの強調や勾欄の表現がなされ、大谷石や木製サッシ、真壁を思わせる白塗りの壁 、障子などを合わせることで庭園との調和が図られています。建物低層部には屋上緑化が考えられており、居室から見ると屋上の緑と庭園とが連続するよう配慮されています。

鳥居坂に面した所は石積を施され、中に入ると大振りな石積と植栽が出迎えてくれます。正面玄関から入ると明るい光が押し寄せ、2階にあるロビーからはシンプルな屋上庭園が目に入るようになっています。和から洋の空間へと場面転換が図られていますね。主庭のある地上階に下ると、平坦な芝生広場が広がり、南側にはレストラン、宴会場があり、各部屋と庭園とは視覚的に密接に繋がっています。芝生広場の手前はシンプルに設えて建物を浮き立たせていますねえ。居室内部もヒューマンスケールな感じが最高です。

その後建物は、2000年代に入ると取り壊しの危機に見舞われましたが、建築学会が提示した提案が採用されて保存再生に方針転換がなされ、2005年に免震化や居室拡大などの改修工事が実施され、2006年に再オープン。そして現在に至っています。建築の外観や、庭と建物の伝統的なたたずまいは変えることなく保存され、周辺環境との調和も以前と同様に保たれています。どんどんこのような動きがモダニズム建築に対して出てくるといいですね!

建築:国際文化会館

設計:前川國男、坂倉準三、吉村順三

建築作品を見た雑誌等:DOCOMOMO選 モダニズム建築100+α (著:大川三雄/渡邉研司 、河出書房新社)、新建築20069月号

建築のある場所:東京都

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