史跡尾去沢鉱山~長い歴史の中での繁栄と衰退、夢の跡~

一見廃墟マニアにはたまらなそうなこの佇まいは、秋田県鹿角市にある江戸時代から戦前にかけて、日本屈指の産出量を誇った鉱山跡で、田老鉱山、松尾鉱山とともに東北三大鉱山とされ、近代化産業遺産に認定されています。

なんでも古い言い伝えによると、和銅元年(708年)に開山され、あの東大寺大仏の金メッキや岩手県・平泉の黄金文化の発展にも寄与したとか。そんなことでここの鉱山は、東北三大鉱山の中で一番古い歴史が残っています。江戸時代には銅の鉱脈が発見され繁栄し、明治に入ると三菱財閥により経営され、大正時代には当時最新鋭の大規模な設備が設けられましたが、昭和に入ると銅の価格低迷と品質が低下によって、1978年に閉山となりました。

1300年の歴史を終えてからは、その後観光開発がなされ、跡地は石切沢通洞抗という全長1.7kmの坑道が、観光用に公開され、史跡尾去沢鉱山として開業ししています。内部は坑内採掘跡をはじめ、地面にはレールの跡、鉱石運搬設備、坑内の現場事務所などが当時のまま再現されています。とくに坑道内では約900万年前の地殻が露出した姿やその存在感には圧倒されますね!

観光用の坑道は一本道ですが、尾去沢鉱山は広範囲に鉱脈が広がっていたため、すべて入れると全長800kmあるらしいです。すごい!日本の公開されている鉱山のなかでもトップクラスに大きいそうです。ところどころに分岐する坑道があり、立ち入り禁止の文字と鉄格子の向こうには、真っ暗な道がどこまでも続いていると考えると怖いですねえ。誰かこっそり住んでいるんじゃないかなあ(笑)。

そのほかにも、隣接した選鉱所や製錬所等の鉱山施設も未だ残っています。廃墟感がたまりません!外観の製錬所で一番目につくのが高さおよそ60メートル巨大な煙突です。そのシンボリックな存在が印象的ですね!尾去沢鉱山から採掘された鉱石をより分け、製錬所に送る中継地点の役割を担っていた選鉱所は国内最大級の規模であったそうです。現在ではその基礎の部分のみが残されています。他の建造物より少し前に突き出た建造物の鉄筋コンクリート柱だけが残されたその様は、まるで古代の遺跡のようですねえ。ジブリアニメの「天空の城ラピュタ」を思い起こさせますわ~。円形建造物は尾鉱シックナーと呼ばれ、この上はプールになっていて、浮遊選鉱という作業のための装置だそうです。この朽ち果て具合とか、かなりいい感じですよね~!ちなみに地上設備の選鉱場や精錬所の跡地を巡る産業遺産コースもあり、こちらは要予約とのこと。

そんな尾去沢鉱山から採掘される鉱石によって、この町は戦後復興期の日本を支えてきたわけです。鉱山の最盛期には、町で働く人やその家族のために、東北最大規模の娯楽設備がもうけられていたとのこと。廃墟にはかつては多くの人が採掘し、製錬作業を行っていた。そう思ってこの風景をながめると何かさびしい。でもそれが見る人たちを魅了してやまないのです。

参考) 尾去沢鉱山ホームページ

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