ヴィラ・アレム~さらなる静寂となにもない場へ!~

この住宅は、設計者であるスイス人建築家ヴァレリオ・オルジアティの別邸です。大西洋から10キロほど内陸に入り込んだポルトガル南西部の田舎町アテンレージョにあります。海外に別荘かあ。いいなあ。

ここら一帯の周辺地域には、起伏のある田園風景がひろがっていて、とても美しいコルク樫の木が林立しています。う~ん、日本ではあまり見ない風景ですねえ。気候はおだやかで比較的乾燥しています。その乾燥した大地は石やほこりが舞う、ちょっと砂漠チックな場所でもありますねえ。

このプロジェクトでは、隠れ家のような庭園をつくるという意図のもと設計がなされていったようです。しかし、こんな穏やかで、まわりに、なーんにもないような場所でなんであえてこの手法をとったのだろうなあ。なんて思ったりもします。

さて、そんな建築は、上でも少しおはなししたように、内に閉じた感じの空間になっています。特徴的なのは、その閉じた空間を形成する要素となる建築を取り囲む壁ですね。その高さは、な、なんと5.5メートルもあり、なぜかしかも空に向かってそれらは閉じたり開いたりしている形態をしています。壁はコンクリート打ち放し仕上げとなっていて、色はやや赤みを帯びて、地面の色と同化しつつありますかね。その赤みがかった感じがはなびらみたいにもみえたりします。なんかその開く向きみたいなものが異質に感じますね。この壁に建築は隠されながら、平屋として広がってこの地に置かれているわけなんですよ。でもあれですねえ。これだけ高い壁に囲まれていると、外部みたいなのにそこが部屋みたいにも感じる。地面を囲うということで、こんなにも領域というか、自分のスペースのようなものが生まれるんだなあ。と思いましたね。

内部はリビングスペースが南北にのびる建物の軸線上の北端にボリュームとして配置されていて、その南側には、プールが配置されています。さすがヴィラ!そしてプールの奥にある壁にもうけられた南側壁には扉が設置されていて、そこを開くとその奥には!はい。なにもない風景が続いています。閉じられながらも奥行きを部分でもうけることで、視線の抜けをつくっているんですね。なにもないからこそ、それがどこまでも抜けるという。なるほど!

そして、リビングから曲線を描いた廊下のスロープを降りていくと、そこには奥まった個室空間が用意されています。このクライアントっていうか設計者である建築家は、さらなる静寂をこの建築空間によって獲得したかったのでしょうね。何も考えずここで1週間ほど休息したい!

建築:ヴィラ・アレム

設計:ヴァレリオ・オルジアティ

建築作品を見た雑誌:a+u 20164月号

建築のある場所:ポルトガル

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