金沢海みらい図書館~図書館の魅力を再考するホワイトキューブ!~

金沢駅からバスで北へ15分ほどいった市街化が進む場所に位置し、新興住宅地などが近接する地域。そこには、市で4番目にできたおよそ40万冊の蔵書をもつ図書館があります。そこは地域にオープンスペースを提供し、道路に面して公園のような環境に建つ地域のシンボルとなっています。

建築家は設計にあたって、19世紀に建てられたフランス国立図書館リシュリュー館(旧館)のような空間を引き合いにだして、大きな空間ボリュームと質感を重要視し、本と人と空間が共存した本来の図書館らしい空間を実現しようと提案しました。気持ちよく本が読める空間と、多くの本に囲まれた豊かな空間体験の必要性を説いたわけですね。

図書館は敷地に対して建築は周辺の住宅から距離を取った配置をし、その北側には芝生広場が広がっています。そこに白いケーキの箱のような外観に大きさが異なる丸窓が全部でな、なんとおよそ6000個もあります。そんな図書館のメインとなる2階内部は、開架図書と閲覧室を仕切りなく融合したワンルーム空間となっています。45メートル×45メートルの平面、高さ12メートルの空間が直径300ミリメートルという細い柱25本によって支えられ、丸窓のパンチングウオールが4面を取り囲んでいます。この無数にパンチングされた壁は、水平剛性を受けるブレースとして機能し、スレンダーな柱による開放的な空間を可能としています。そこは大量の本が置かれた広場のようですね!小さな光がたくさん集まることで、この大空間には均質な柔らかい光で満たされています。そんな光によってかすかに透過した壁は離れてながめてみると、遠くの山並みをうっすらと感じることができます。そして夜になるとこの穴からは光が漏れ、まるで地域に灯される行燈のような雰囲気を醸し出します。

3階へと上がっていくと学習机からは、2階の書架を一望できる気持ちのいい光景となっていて、そこで座って本を読む居心地もまた最高です。1階は児童図書コーナーは壁側の一面がガラス張りとなっていて、明るく開放的な空間となっています。また、天井にある花柄の照明もかわいいらしいですね。

その他、1階には講演会、発表会、ギャラリー、あるいはグループ活動等で活用できるための大きな交流ホールや集会室、グループ活動室、ギャラリー等があり、各目的に応じて活用でき、地域の交流施設としての機能も担っています。また3階の一部には、海・ものづくりに関連する蔵書を集約した地域情報フロアを設けられています。そのほかにも金沢の大学と連携し、学生が利用者と触れあい、考える場にもなっています。金沢21世紀美術館とも連携し、美術館で所蔵している作品を展示されたりしているのもいいですねえ。

このような多くの人たちが本を読んだり見たりする環境として、柔らかな光に満たされた外のような開放感、森のような静けさは、まさに本を読む場所と見る場所の一体感が生み出されています。

IT技術によって本の中身をどこにでも持ち出すことが可能になった昨今、しかし一方で本そのものの存在は、基本的には変化していません。この建築には、その変わらないものがある図書館という空間のなかで本と向き合う場をこの時代にあうかたちでつくりたいという想いが伝わってきます。本と出会い、気に入った場所で読む。その本と人との共存や、本をとおした人同士の価値観を共有できる場。それもまた図書館が担う未来のかたちなんですね!

建築:金沢海みらい図書館

設計:シーラカンスK&H

建築作品を見た雑誌等:新建築20117月号

建築のある場所:石川県金沢市

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