ガルシア現代美術センター~そこに建築が置かれ、街が生き続ける!~

スペイン北西部に位置するサンティアゴ・デ・コンポステラは、カトリックの聖地であり、大聖堂を目指す巡礼路が有名な歴史都市です。この美術館は、その都市の歴史遺産であるヴァレ・イ ンクラン通りに面したサント・ドミンゴ・デ・ボナバル修道院の敷地内に建てられています。

美術館は敷地内の既存庭園や周囲の街並み、そして地形を尊重するように計画され、建物ボリュームは、3層程度の高さを修道院の窓の仕上げに対応させることで、都市との関係性を構築しています。建物は二つのL字型の棟からなっています。その1つは既存の街路に平行配置され、もうひとつは裏手にある修道院の庭園に沿って角度を振って、南北軸に配置されたボリュームにぶつかることで、三角形状の平面が形成されています。この配置関係によって、既存街路の空間やエントランス側に修道院との間に広場、裏手には庭園が生まれ、美術館は3方からみることができます。

既存街路の裏側からエントランスへのアプローチがいいですねえ。美術館の側面と、修道院の側面が絶妙な角度を振って配置されているので、美しい遠近空間による奥行きがつくられています。その奥にある隙間を通り抜けると、美術館へのアプローチであるスロープ空間に辿り着きます。2つボリュームの一方をほんの少しだけずらすことで微妙な変化がとても魅力的な関係性をつくりだしていますね。外観は隣接する修道院や街並みを意識し、それらと同じ花崗岩が使われ、周囲との調和がはかられているとともに、サンチャゴの気候や素材の耐久性も考慮された表現となっています。

そして美術館正面のポーチ部分を見ると、正面にあるスロープと開口が手前から奥に行くに従って斜めになっていますね。開口が始まる部分と終わる部分とでは、その高さが異なり、直線を斜めにする事によって、一方向から見るとそこからはよりパースぺクティブな空間が強調されているのがわかります。来館者を奥に奥に誘い込む感じがします。

内部は、花崗岩に覆われた外観とはまた対照的で、白い大理石と漆喰によって仕上げられ、自然光を取り入れた室内は明るい空間となっています。1 階の屋外スロープを歩んでメイン・エントランスから入ると、その右手方向にはカフェやブックショップが展開しています。腰壁付近まで大理石石が立ち上がって壁へ連続しています。

1階の企画展示空間に進むと、大きなガラス窓を通して光が降り注ぎ、微妙に光が届く程度の奥の白い壁との対比が空間の奥行きと表情をつくりあげているのがわかります。トップライトのある吹き抜け部分の天井高さから、窓際近くでは天井が低くなり、その天井高の操作によって空間が分節されています。トップライトから見える空は展示作品の一部のようですね。そこから差し込む光は反対側の真っ白な壁に反射しながら内部空間に拡散しています。ここでは展示室へ入った所からは光源を見えなくし、そこから落ちる柔らかい光不思議に変化する空間が試みられています。う~ん、絶妙!そしてこの空間の天井は修道院の側面へ、大きい窓は美術館の側面へと対応し、それらが交差し、展示室への入口となっています。ここで奥行きを創り出しながら建築の配置とその内部空間が対応してつながった表現となっているのがわかります。それに気づくと、修道院と美術館の関係が建物の配置と関係し、内部に展開する空間のつながりにも関係づけられていることに感動します。床と家具を連続させるデザインも素敵ですね。家具と建築が溶け合いかなり曖昧な関係をつくりだしていてそれがまた最高でしたね。

2つの棟の交差によって生まれている三角形のスペースは、上から光が降り注ぐ転換エリアになっています。そこには常設展示ギャラリーと企画展示ギャラリ ーのためのコントロール・エリアとまっていて、アトリウムが、建物の南側で2つの棟同士をつないでいます。屋上テラスは一般に開放され、彫刻の展示を見ることができ、斜路を経てそこに登るとサンティアゴの街並みを望むことができます。

真っ白で透明な空間とそこに漏れる不思議な光。そして敷地の過去と未来を結び付ける軸線による奥行きと空間構成。周囲の建物による敷地の複雑な関係性を、内部と外部との連続性を純粋に空間で表現しようとしていることがわかります。これらを、建築空間でシンプルに洗練さを与えながら解決しているんですよ!そこに建築が置かれることでその都市がこんなにも美しく明快に輝くものになるのかと感動をおぼえましたね!

建築:ガルシア現代美術センター

設計:アルヴァロ・シザ

建築作品を見た雑誌:a+u 20004月号

建築のある場所:スペイン

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