弘前市民会館~緑と調和する優しい力強さのあるコンクリート建築!~

弘前市には、あの前川國男による建築が点在しています。明治の洋風建築とともに、その街並みには奥深さがありますよね。さてそんな前川建築の傑作であるこの建物は、弘前のシンボルとして誕生し、音楽、舞台芸術の鑑賞、発表の場として、今も広く市民に愛されているコンサートホールです。

建物は桜で有名な弘前公園敷地内の南側に位置しています。弘前市役所から西に向かって桜並木を少し歩いていくと、建物がその姿を表します。コンクリート打放しの外観が、周辺の緑に映えながらも見事に調和している佇まいがとても力強くそして美しいです。なぜコンクリート建築なのに緑とこんなにも溶け合うように存在しているんだろうと思いながら近づいていくと、その外壁には、県産材であるヒバの型枠が表す木目肌があり、そこが暖かい肌合いを感じさせてくれます。だからですね!そしてすぐ隣には前川設計による弘前市立博物館が建っています。

建物の構成は、大ホールのあるホール棟と事務室や会議室等がある管理棟の2つのボリュームが長いエントランスポーチで結ばれています。ポーチはゆったりとホール棟から管理棟への来客者を雨、そして雪から守りながら建物内部へと誘いこみます。雁木みたいですね。ポーチの上は解放されたテラスとなっていて、周辺の自然を楽しむことができます。そしてこのテラスはただ外部通路を渡すのではなく、数段下がったところにカフェがもうけられていて、レベルを変えることで空間に流れを創り出していています。

1400名もの人数が収容の大ホールは、前川の傑作とされる、「神奈川県立図書館・音楽堂」(以前ブログでもとりあげましたね!)にも引けを取らないほどの音響を誇っています。棟方志功作の大ホール緞帳は、志功自身が直接色を指定して制作されたもので、その独特な色彩感覚が大胆に表現された大傑作です。これは弘前、いや青森、いやいや日本の宝ですね!そのほかにも2階へのゆったりした階段やリズミカルに並んでいる四角い窓や、銅管を使用した2階のシャンデリアのきらめきも素晴らしいです。

そしてもう一方の管理棟の中心となっているのが吹抜けホールがまたすばらしいんですよ。天井が低く抑えられたエントランスポーチから玄関へ入っていくと、正面に階段が見え、さらに進んでいくと、そのホールに出ます。抑揚ある空間の関係性によって、この2層分ある吹抜けがより高さを感じ、そして視界がひろがるのを覚えますね。大きな開口部からは弘前城公園の緑が見えます。そしてステンドガラスがあり、天井の照明は濃いブルーの暗い天井に点在して輝き、空に輝く星空のような意匠になっています。袖のコンクリートの壁は赤色も華やかです。この色彩は師匠であるコルビュジェ仕込みという感じでしょうかね。

いやあ、シンプルな構成ながら、このボリューム感、存在感はまさに建築本来の持つ力強さと奥深さを感じますね。そんなこの市民会館。築50年を前にして、近年、元の意匠を残しつつ大規模改修工事が行われました。公園内にある施設は、解体されてしまうと、もう二度と建設されることはないでしょうから、これからも大事にしていってほしいですね。

建築:弘前市民会館

設計:前川國男建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:ja前川國男、前川國男(鹿島出版会)

建築のある場所:青森県

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