サンテリア幼稚園~光の敬意から生まれた建築のもつ透明性~

ミラノから各駅で1時間ほどにある北イタリア有数のリゾート地であるコモという都市。この建築はその中心部から南へ5キロほどはなれた郊外にあります。この幼稚園、建てられたコモ市南部の新興住宅地に付けられた呼称が、第1次大戦で戦死した未来派の建築家アントニオ・サンテリアの名前からであったことからこの名称となったようです。 大戦後しばらくこの地域に幼稚園がないことから、住民より建設要求があり、1930年に敷地が現在の場所に決定され、いろいろ設計者が変わって、最終的に担当したのが、ジュゼッペ・テラーニということらしいです。

テラーニはコモの街にいくつもの建築を設計しています。そのなかでまず出てくるのが、以前ブログでとりあげたカサ・デル・ファッショ。この作品は、30年代のイタリア近代建築の最高傑作であり、イタリア合理主義建築の規範ともいわれています。その作品と同時期にできたもう一つの代表作がこの幼稚園。インターナショナルスタイルと呼ばれる建築の傑作とされています。

全体が白い壁とガラスによって構成されている幼稚園は、その広い敷地と平屋構成の建物による開放感で溢れています。平面は、カサ・デル・ファッショと同じようにイタリアの伝統的な中庭をつくるようにガラススクリーンに囲まれていまが、その規則的に配置された構造とは対照的に、この幼稚園では、低層による水平を強調しながら、自由で軽やか、そしてリズミカルな平面が展開し、建物の輪郭が曖昧にひろがる透明感が印象的です。それは柱をすべて均等に配した柱によって、壁を構造体の枠組みから自由に開放し、自由に配置する空間構成となったプランとなっているためでしょうね。そのため外壁は細いフレームによる一面ガラス張りになったダイナミックで明快な表現となっています。オープンスペース、教室、廊下、食堂などの各教室は、芝生で覆われた園庭に対して並列して配されていて、その庭に対して壁いっぱいに開口が設けられ、光に溢れています。

そして太陽が高くなってくると、開口部前面にもうけられたフレームに備えつけられた日除けが広がりはじめます。この日除けは完全に広げても少したるむようにできていて、その真っ白な日除けが広げられた姿は、船の帆のようです。日除けは陽の光を遮りながらも、その日除け部分に光を蓄え、そのたるみが穏やかに風にそよいでいる様相は、まるで光がボリューム化しているようにもみえます。建築のハードな緊張感のなかに、やわらかでおおらかさがあるように感じますね。

これらのテラーニの光に対するこだわり、いや敬意といったほうがいいくらいでしょうか。それらが建築に構築的されていて、その関係性がガラスとかそういうものではない、空間としての考え抜かれた透明性、う~ん、うまく言えないなあ。そんなものをつくりあげています。

建築:サンテリア幼稚園

設計:ジュゼッペ・テラーニ

建築作品を見た雑誌:GA74

建築のある場所:イタリア、コモ

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