フォリーノ教区複合施設~復興を願い、自然と寄り添う建築へ~

山々に囲まれたペルージャの古い都市にある、教区会館、そして宗教施設という2つの側面をもつ建築です。この場所は1997年に地震にみまわれ、都市の復興を象徴する存在とする目的でデザインコンペが行われ、この建築が建てられました。キューブの形態がとても象徴的ですね。

建物の第一の棟にあたる教会部分は、先ほども少し触れましたが、純粋な幾何学形態からなっていて、その平面が30メートル×22.5メートル、高さが25メートルの箱。この外観が周囲の中に浮き立ち、シンボリックな存在になっています。そして第二の棟にあたる平坦な建物には、聖具室、司祭室、聖堂参事会館などがおさめられ、第三の棟にあたる半透明な建物には、平日礼拝堂は2つの棟と接続しながらも独立性を保っています。

立方体に近い外観からなるこの建物は、入れ子状に構成されています。平面から1.5メートルほど浮き上がった構造となっていて、その手前にある入口には、前庭に沿って歩道がしかれています。この浮遊感がほんとすごいですね。空間に緊張感をつくりあげているような気がします。入口部分は、壁が水平に切り取られたようにつくられていて、それがこの建物の正面であることを表現しています。屋外空間には、芸術家のエンツォ・クッキによる野外彫刻「十字の柱」は、コンクリートとカラーラ産の白大理石による高さ13.5メートルもの作品や、芸術家ミンモ・パラディーノによる十字架の道を表す鉄の彫刻は建築のランドマークとして調和しています。

建物内部は、空を一目瞭然にしたスカイライトが、入れ子状となっているボリュームの間を照らしています。なんか空間のなかにあるボックスが内部で宙吊りになっていて浮遊しているみたいになっているんですよ!この宙吊りボックスの内側に祭壇や身廊があり、その外側の内部には側廊があります。その側廊を見上げると、不定形な大きな梁が数本あります。その形状をした構造要素は、外部ボリュームを吊り下げ型の梁に接続しながらも、その梁内部が空洞となっていて、内側のボックスに光を降り注ぐ開口にもなっています。これらの開口部からは、不規則な光が内部空間に入り込んでいます。光がその大砲のような筒の空間から内部に落ちる光の造形をつくっているんですねえ。そんな不思議な形態の開口部やスカイライトからの自然光が縦横に行き交うことで、空間には静寂がもたらされ、精神性の高い祈りの空間がつくりあげられています。そして地元の職人によって製作された祭壇、説教檀、洗礼盤などの宗教的装飾品は、空間を縦横に降り注ぐ光の束によって、その場の中心性が強調され、落ち着いた意匠によるオークの椅子の存在は、これらの空間をより一層神聖なものに仕立て上げています。

イタリアも日本と同様に、地震が多い都市でありますよね。自然という動かしようのない尊い存在と向き合いながら生活する。建築から降り注がれる光が都市の復興を支える存在として人々をつつむ。この要素も自然によるものであると考えると、我々人間は自然というものを上手に互いを尊重しながら生きていかなければないらないことを改めて実感しますね。

建築:フォリーノ教区複合施設

設計:マッシミリアーノ・フクサス

建築作品を見た雑誌:a+u 201112月号

建築のある場所:イタリア

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