カノアスの邸宅~自然と人間に呼応する曲線から生まれた建築空間!~

リオデジャネイロ郊外の海辺近くにある丘の中腹、その緑豊かな住宅街に建つこの住宅はブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤーの自邸です。彼の建築といえば、ブラジリアの都市にある建築群が有名ですが、この住宅作品もすばらしいです。ううん!いいですねえ!!彼の建築は、やわらかい自由な曲線が特徴ですよね。人間がつくる直角や直線などの柔軟性がないものには心惹かれないというニーマイヤー。彼は、自然に流れる官能的な曲線、それは祖国の山々であったり、河川であったり、海の波であったり、女性の身体であったり、そういうものこそ魅力的なものであると語っています。それが1950年代に建築という表現で純粋にこたえられているっていうのがすごい!

そんなこのニーマイヤーが住んでいた建築は、建築は岩場に建てられていて、できるだけ岩を動かさず、地形に沿って建てられています。それにしても、スゴイ場所に建っているなあ。しなやかなフォルムが敷地と周辺の自然と一体化しているようですね。そんなコンクリートの彫刻のような建物はRC造の地上1階地下1階建て。主要階である1階は低くおさえられてつくられていて、その曲線的な建物の周囲は樹木が立ち並んでいます。上から見ると雫のような白い屋根のラインは、前面に配されているプールのかたちに沿って形成されています。ぜいたくー。でもリオは気温の高い都市なので、ある程度の階層以上の家には、普通にプールはあるそうです。すごい!外壁はほとんどガラスによって構成されていて、これによって視界が建物の反対側まで抜け、建物の存在感が透明です。

住宅内部は、プールからつながるようなワンルームのような空間となっていて、建物の外にある岩や緑が、そのまま屋内に続いているんですよ!岩がそのまま家の中にくいこまれ、むき出しになっていて、リビングがまるで庭の延長上であるかのような感覚になります。広々とした室内は、わずかな細い柱でフラットな屋根を支えられていて、これもけっこう驚かされます。ブラジルってあんまり地震がないのかなあ。そしてその柱とともに曲面のガラスと流線型の屋根が絶妙なバランスで調和しています。この鉄やガラスなどの素材を自由に使用した建築は、ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸からの刺激を受けたとのこと。まあたしかに地上階だけ見るとそういう空間を、くねらせたような感じだ。現代建築でいうとSANNAっぽさもありますねえ。先をいってたんだなあ!と今更ながら驚き!!

階段をおりると、丘の斜面に埋め込まれている半地下空間に書斎と寝室があり、地下階が地上階と巧みに関係しあった構成になっています。丘の斜面と空間がなめらかに一体化していますねえ。地下といっても、崖がある斜面となっているので裏手に窓がとれます。左右側面のガラスを回転させることで開閉できる出窓のデザインがなんとも素敵ですねえ。

この建築はコンクリートという素材がもつ流動性を生かした曲線が、ニーマイヤーの手によってこんなにも空間を豊かにしています。それはほぼ曲線で形成されている自然環境に近く、自由で、おおらかな空間です。オスカー・ニーマイヤーがその当時の時代を超越した建築家であったことがわかりますねえ。今のコンピューターが曲線を描く時代よりも以前に、このアクロバティックで大胆で、でも人間の身体や自然に呼応するかのような建築が、ようやく今私たちが生きている時代になって、追いついた。そんな感じですよね!

建築:カノアスの邸宅

設計:オスカー・ニーマイヤー

建築作品を見た雑誌:a+u 20世紀のモダンハウス

建築のある場所:ブラジル、リオデジャネイロ

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