繊維業会館~気候風土と共に生きるための近代建築~

インドでル・コルビュジェの建築といえばまずはチャンディーガルですが、もう1つあるんですよねえ。それはグジャラート州のアーメダバード。この場所には4つの彼の作品があります。そのなかでも代表的なこの建築は、街の中心を流れるサバルマティー川の川辺に面した敷地にあります。この建築は、チャンディガール都市計画によって関わったインド首相の紹介からジャイナ教徒コミュニティのトップを通じて設計を依頼され実現したらしいです。当時アーメダバードにいたジャイナ教の富豪達は繊維工業で財をなしていたそうで、こういう名称なのでしょうね。

建物はコンクリート打放しで、カラフルな色が建物に挿入され、それがアクセントとなっています。直方体や円柱などを組み合わせた造形には、インドの伝統建築の形式などをモチーフにしたのでしょうかねえ。またアーメダバードが熱帯モンスーンの気候であるため、内部環境を維持するために外気をとり入れる大きな外部空間が挿入されるなど、この建築はインドの気候風土に調和するための様々なアイデアがつまっています。そのなかでもまずはインドの強烈な日差しを避けるための東西にもうけられた彫りの深いブリーズソレイユが印象的ですね。深い影が建築に立体感のある表情を与えています。植栽も施され、手摺りのように見えるのは植栽のための散水管となっています。夏季には40度以上というこの地域では、植栽によって建物内部が冷やされ、そして開放感溢れる半戸外的な空間には、建物が面するサーバルマティ川からの風を通すことで建築環境を維持しているんですねえ。

そしてこの建築、ル・コルビュジェの代名詞でもあるドミノシステムと近代建築の5原則の「自由な平面」を踏襲した建築にもなっていて、各階それぞれが構造とは切り離されたような異なるプランニングでつくられています。そのほかにも例えば正面から2階の集会室に向かう特徴的なスロープもそうですね。長いなあ!

さて内部を見ていきますと、開設当初は、1階に一般事務室 、2階には館長室とミーティング室、3階に約80人収容の集会室がありましたが、現在では、1階にシアター兼集会室、2階に館長室とル・コルビュジエに関する展示室となっていて、そこには図面や模型、当時の写真などが展示してあります。長いスロープを渡ってたどりついた2階にあるホールのような外部空間。気持ちがいいですねえ。そしてそこからさらに階段を上がると門型のコンクリートフレームに赤い大きな回転扉が設けられています。3階は、さらに天井高が高く、サーバルマティ川を望む広場のような空間となっています。長く大きいベンチやメザニンとそこにに上がるオブジェのような階段。プライベートガーデンみたいです。贅沢です。会議場の天井は日差しを反射させ室内に光が採りこめるように湾曲し、両端には熱気を排出するための開口部が設けられています。屋根面には水が張られ、その気化熱で躯体を冷却しています。これら建築的プロムナードは建物内部に外部空間を抱き込み環境調整を行っています。ほとんどが外部空間からなる公園のような自由空間。そこに通り抜ける空気といっしょに移動して展開される建築風景!すばらしいです!!今となってはたくさんあった繊維工場も現在では少なくなり、産業の存続まで危ぶまれていますが、この傑作とともに長く残っていってほしいですね。

建築:繊維業会館

設計:ル・コルビュジェ

建築作品を見た雑誌:GA30GA Contemporary Architecture 07 PUBLIC公共建築、

ル・コルビュジエ 日本語版 (著:ジャン・ルイ・コーエン、TASCHEN)、

ル・コルビュジエのインド 建築文化シナジー第2弾 (彰国社)

建築のある場所:インド

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