葛西臨海公園展望広場レストハウス~東京の湾岸風景を構築した透き通った幾何学形態!~

ディズニーランドでおなじみJR京葉線舞浜駅のお隣りにある駅。その出口から海岸線に向かって、公園の中心軸にあるプロムナードを歩いていくその先にガラスの建築が見えます。この透明で美しい建築は、東京都が長年にわたり行ってきた埋め立て事業の完成を記念して建てられた、建築家谷口吉生設計による展望・休憩施設です。

いやあ、ほんと、とにかく美しい! 建築は、幅7メートル、長さ75メートル、高さ11メートルのガラスの直方体。展望施設にしちゃあ、低くて細長い建物ですね。水平方向に建物がのびていて、海辺にある木々からちょこんと頭を出す程度に高さが抑えられています。普通はタワー状だったりしますからね。これは建築家が、周囲に高い建物がないことから、この程度の高さの低い展望台でも公園の海を十分に満喫することが可能で、しかも多くの人々を受け入れることができると提案がなされたとのこと。そのような経緯からなるかたちが建築と自然と一体となった風景を生み出していますよね。

そしてこの建築はまるいドームのかたちをした水族園の建築と対となっています。この建築も谷口が設計を手がけたもの。機能のほかに記念建築としての象徴性とこの水族園施設との調和が求められた建築家は、公園を庭と見立てたときに、その敷石となるようなスケールで景観をなすような意匠としました。こういう日本的な考えをもとにモダンな建築をつくる彼の考え方は素敵ですね。うまいこと建築同士が呼応して、それが詩的な美しさにまで高められています。

建築中央のゲートのような部分が印象的であり、また秀逸ですね。建築にたどり着くまでのアプローチに期待感を抱かせてくれます。あの先には何があるのだろう。みたいな。まあ、その向こうには芝生の広場と海、そして大きな空があるだけです。でもその単純な風景が正方形に切り取られ、抜けている部分からは、東京湾がきらきらと輝いています。この建築があることで感じる、広大な東京湾や海の輝きとそこから流れるそよ風の心地よさ。この建築は立地している場所の魅力を引き出し、新たな人と海との風景がつくられているんですよ!

建物はコンクリートの箱になっていて、その外側をガラスの箱が覆っているようなシンプルな構成となっています。直方体に覆われたガラスファサードからは、建物スラブや躯体がはっきりと見え、一部のガラスは空と一体化しているようです。空を背景に内部を動いている人が浮いているようにも見えますね。その透明さから、内部の人と外部の人の目が合います。その目線の交換による、カフェテラスのような見る見られる関係性が楽しいですね。

内部空間は、地上2階の展望施設と地下1階の休憩スペースで構成されています。外観と呼応して、水平にスロープや階段が連続し、来場者がスムーズに流れるように計画されています。まるで公園のプロムナードがそのまま建築につながり、空中に浮遊するように展望スペースへ導かれるような立体動線を描いていますねえ。

ゲート部分にある入口から建物の内部に入って、そのコア部分の周囲を巡る緩やかな階段を上っていくと、東京湾の眺望が展開されます。東西を結ぶブリッジ廊下を渡っているとまるで空中を歩いているようにも感じます。そしてスロープを下りていくと、休憩スペースや葛西臨海公園の敷地に生息する野鳥に関するパネルが設置されているスペースが点在しています。地下には防災センターやレストランが配されていて、レジャー施設としても防災拠点としても活動できるようになっています。

これらの空に溶け込むようなこの建築の透明感は、ディテールの徹底的な追求から生まれていますね。サッシの方立と無目がサッシの一部としてではなく、構造材として用いられています。ブレースが、サッシからコンクリートの箱に連結され、構造としてきいています。いやいや、見れば見るほど泣かすディテールで現場の苦労がみえますねえ。そんなコンクリートの箱の仕上げには、50角の白い無釉磁器質タイル。透明な外観からの太陽光によって内部が光りすぎて浮くことなく、ガラスの背景を落ち着いて受け止めています。ガラス、鉄、コンクリートの素材からなる純粋な幾何学形態。それはモダニズムの美意識を突きつめた、日本的で端正な建築が埋立地としてつくられた風景に日本らしさを与えていたんだなあ。 くあ~!

建築:葛西臨海公園展望広場レストハウス

設計:谷口建築設計研究所

建築作品を見た雑誌:ja1996-1

建築がある場所:東京都

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