神奈川県立近代美術館鎌倉館~戦後復興を象徴する日本のモダニズム建築!永遠に!!~

鎌倉市の中心、鶴岡八幡宮の境内にこの建築はあります。なかなかめずらしい立地ですよね!平家池をのぞみ、そこからせり出すように建っている軽やかな佇まいは、まるで池に浮かんでいるかのようですね。古都鎌倉の歴史と周囲の自然に調和した美しい建築です。

この美術館が建築されたのは、1951年という戦後の混乱がまだ残る戦後間もない時代。そんな物資が足りない時期に、作品を発信する場が欲しいという芸術家らの要望が当時の神奈川県知事に届きました。そんな知事をはじめ多くの方々の尽力によって、この建築は、復興への象徴として日本初の公立近代美術館として開館したわけです。すばらしいですねえ!設計を手がけたのは、モダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエに師事した坂倉準三。この建築は彼の戦後初の作品で、もちろん彼の代表作、そして戦後日本のモダニズム建築を代表する傑作として高い評価を得ています。

建物は鉄骨構造2階建ての延床面積およそ1575平方メートルほど、まあそんなに大きな建物ではないですね。四角い中庭を中心として、展示室などの様々な機能が取り囲んで構成されています。美術館の主要部分は2階にあり、それをピロティによって支えられています。ちなみに当初の案では、2階の展示室の東西部分にさらに展示室やホールを増築するという計画も盛り込まれていたそうです。この構成による考え方は、師匠ル・コルビュジエが1939年に発表した「無限発展の美術館」という概念を坂倉が受け継いだものとなっています。そしてこの数年後、コルビュジエ自身もこの概念に基づく初めての美術館を、東京にある国立西洋美術館で実現しました。先に弟子がやっちゃったんですね!そしてその後、1966年には、坂倉の設計で本館東側に新館が建てられ、その概念をまさに具現化させたんですねえ。

さてその美術館の外観は、端正な幾何学による、清新で親しみ深い印象的なファサードとなっています。 建物の外壁面には、工業製品であるアスベスト・ボードがアルミのジョイントでとめられています。これは予算削減となるのと同時に、施工当時の最新技術が駆使されたとのこと。

建築へは、参道裏側にある正門から、エントランスにある古典的な建築の要素を取り入れた印象的な大階段を上って2階へ入ります。入ると室内の閉鎖的な空間。そして中庭を見下ろす半屋外の空間へと導かれます。そして階段を降りてテラスに出ると、平家池に向かって開かれたピロティ空間へと通じます。池に建つ6本の細い柱からなる空間はなんだか和っぽいを感じさせますよね。そしてそしてそこからつながる大谷石の壁に囲まれた中庭は、人々がなんとなく行き交う広場になっていて、中央にはイサム・ノグチの彫刻作品が配されています。大谷石という自然素材の柔らかい素材感が彫刻に映えますね。そしてまたこの内部と外部が交錯するこの空間体験がまたいいですねえ。これは桂離宮から着想を得たとのこと。コンクリート製の手摺やH型鋼の柱などの最小限でシンプルな材料が、豊かな空間を演出しています。これは、モノのない時代であったからこそ、この時代背景が建築家の理念や美学によって表現されています。モダニズムの普遍的な合理性と新しい技術や素材への積極的な姿勢、そして日本の伝統的な空間が絶妙に調和しています。

そんなこの美術館、建物の老朽化、そして神奈川県と鶴岡八幡宮による賃借契約の満了に伴い、2016131日をもって一般公開を終了し、閉館してしまいました。残念です。これからの管理は鶴岡八幡宮に一任されています。近代建築として評価が高いことなどから、建物は保存の方向とのことです。この先も芸術を発信する場として、鎌倉という地域に根差した建築であり続けてほしいですね!

建築:神奈川県立近代美術館鎌倉館

設計:坂倉準三

建築作品を見た雑誌:

建築のある場所:神奈川県鎌倉市

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