在ベルリン・オランダ大使館~動線空間が構成する積層した建築風景~

シュプレー川のほとり、周辺にある石でできた建物群との対比が際立つガラスとアルミパンチングメタルによって外観が仕上げられているこの建物。この敷地は、ドイツに古くからある都市計画ガイドラインが現存しているため、新築の建物でさえも、建物を19世紀型の街区にきれいにおさめなくてはいけなかったといいます。そんなガイドラインがありながらもよくこの建築を行政はOKだしたなあ。と、ぼそぼそ。。前置きが長くなりましたね。失礼しました。そんなこの現代的な風貌の建物は、東西ドイツの統一を機に、ベルリンのミッテ地区への移転のために建てられた、な、なんとオランダ大使館なのです。

8階からなるこの建物は、コアとなるボリュームとL字型になった部分に分けられています。その間にある進入路は中庭としても活用され、片側は大きく開かれ、シュプレー川と公園へ視線が抜けています。コア部分に事務室や会議室などの主要な機能がおさめられ、L字部分には確かスタッフの宿舎等があります。そしてこれらのセキュリティレベルが異なる2つの部分を、ブリッジによってつなげています。建物には通路のような動線空間が巡らされていて、それは外からもわかるようにデザインがなされています。おもしろそうな空間です!

そうなんです!このうねうねと1階エントランスからはじまり、図書館や会議室、食堂などを経由して屋上に至るまで連続する動線空間。これがこの建物の特徴をなしている部分なんですねえ!!建築家はこの動線空間をトラジェクトリー(TRAJECTORY)と呼んでいます。この空間は廊下や階段、そしてスロープなどからなる空間が複雑に空間の機能をからめながら構成されています。一本の動線が建物の内部を横断しては上昇してゆき、ところどころでファサードに建築ボリュームや窓として表出してきたりしながら、建物周囲の環境と連動しています。それはたとえば、シュプレー川やテレビ塔、公園、大使館宿舎などを眺めることができ、建物を貫通する空間からは、公園側から建物の反対側にあるテレビ塔が見えるようにもなっていたりしますねえ。

そしてですね、この動線空間は気密性を高くしてあり、主要なエアダクトとしても機能しています。外の新鮮な空気はこの空間から建物全体へとゆっくりまわってゆき、建物外観を形成するダブルスキンとなった強制換気システムによって排気されます。構造計画的にも、動線まわりの壁を耐力梁としていて、これらを互いに交差していることで、荷重を減らしています。これによって低層階には広いオープンスペースをとることが可能となっています。この動線空間に様々な機能や役割を内包させ、その建築の本当の核として建築を概念化させているという感じでしょうかね。建築家の考えている現代建築に対する考え方が見えますねえ。

外観からは仕事の会話をしている人や、窓のむこうにみえるテレビ塔をながめている人、ベンチで休憩している人など移動手段としての動線空間に行為があふれ、人々のコミュニケーションを誘発しているようにも見えますね。その空間には次々にシーンがつながって上昇していく空間の豊かなシークエンスが生まれています。建築家は、都市の中を歩くように、建物の中を歩くようなシーンや雰囲気をつくりたかったのかな。オランダは人口密度が高い国でもあるから、その街の風景を建築的に構成して、こういう開放性も建築としてありなのでは?っていうのを建築家は表現したかったのかなあ。とか、いろいろ考えさせられる建築ですねえ。

建築:在ベルリン・オランダ大使館

設計:OMA

建築作品を見た雑誌:a+u2004年2月号

建築のある場所:ドイツ、ベルリン

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