旧ホイットニー美術館(現ザ・メット・ブロイヤー)~摩天楼の中に存在するアートのための箱~

ニューヨークにある多くの美術館・博物館が建ち並ぶミュージアムマイルを歩いていると、壁が逆さ階段のように段々とせり出したファサードの建物が見えます。その建物は三角に突出た不思議な窓が少しあるだけで、あとはダークグレーの石貼りの表面で覆われた重厚なデザインとなっています。正面地下のドライエリアに面した部分は大開口となっていて、なかなか不安定で緊張感ある外観ですねえ。

もともとのこの建物は、ガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーによって1931年に設立した美術館で、1966年にニューヨークへと移転するために建てられたものです。美術館には、アメリカの近代・現代アート作品が充実していることで知られています。この美術館の設計を手がけたのは、バウハウスで家具デザインを学び、それ仕込みのモダンなデザインを建築に展開するモダニスト 、マルセル・ブロイヤー。

ブロイヤーはこの摩天楼がきらめく街並みにおいて、美術品を展示する場所として相応しいアイデンティティをもった外観をつくりだすことに検討を重ねたとのこと。その苦労もあって、建物の外観は、周辺にあるオフィスビルや娯楽施設のように見えない存在感ある佇まいになっていますね!

さて、ドライエリア上部に掛けられたブリッジを渡って内部に入ると、ロビーがあり、大きなエレベーターがあります。5階建てのこの建物には階毎に違う展示がある明快な構成となっています。各階の階高はとても大きく、さまざまな展示に対応できるようになっています。館内はやはり外観から見たとおり窓が少なく閉鎖的な空間ですが、作品に集中して向き合える環境となっていますね。そしてこのインテリアはさすがブロイヤーという感じでしょうか。材料の使い方やディテールがいい感じです。ロビーの照明もいいわあ。階段室の壁はゴツゴツしたコンクリートによる凹凸でいい味出してるし、階段のディテールや照明も雰囲気あるわあ。モダンでありながら素材とのバランスが絶妙なすばらしい空間です。

そんなホイットニー美術館。実はですね、現在では観光名所ともなっているハイラインパークの南端のガンズブールストリート沿いに2015年に移転しました!そこに建つ新しい美術館は、イタリア人建築家レンゾ・ピアノによって設計されています。おお、豪華~。さて、もとの建物はというと、マルセル・ブロイヤーの名前にちなんで、その建物名は「ザ・メット・ブロイヤー」。メトロポリタン美術館(MET)の分館として2016年にオープンしました。建物の所有権はまだホイットニー美術館があるみたいで、MET8年間のリース契約をしているそうです。建物は修復され、もともとの建築や素材をさらに生かした改装がなされ、リニューアルされました!メトロポリタン美術館といえばツタンカーメン、という保守的なイメージを一新してオープンしたこの美術館では、主に20世紀から21世紀にかけてのモダンアートやコンテンポラリーアートの展示が行われています。5階には最近東京にも進出したブルー・ボトル・コーヒーが入っていて、ソファーやイスに座りながら、美術鑑賞後の休憩を楽しむ場所となっています。8年後も楽しく活用されていてほしいなあ^^!!

建築:旧ホイットニー美術館(現ザ・メット・ブロイヤー)

設計: マルセル・ブロイヤー

建築作品を見た雑誌:プロセスアーキテクチャ マルセル・ブロイヤーの遺産

建築のある場所:アメリカ、ニューヨーク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする