松涛美術館~圧倒的な異質、その存在感、中毒性アリな建築~

東京は渋谷駅から程近い東急文化村から歩いて5分ほど行くと、渋谷の喧噪から逃れた閑静な高級住宅街となります。そんな場所にこの建築はあります。周囲の住宅と軒並みを揃えつつも、その日常的な場所の中にまるで異空間のような存在感!そんなこの異質な雰囲気を放つ建物は、1981年に開館した地域の美術館として、渋谷区民をはじめ、多くのひとたちに親しまれています。その設計を手掛けたのは、哲学的な建築家、白井晟一。その彼の晩年の代表作です。さすが、独特なオーラあるわあ。

通りからは地上2層分ほどとなる重厚なファサードがかまえています。必要な容積を確保しながらも、住宅街という地域性や厳しい高さ制限をクリアするため、地下を2層にして高さを抑えてあります。正面に見える花崗岩が組積によって構成されているやや湾曲した重厚な外壁、その上にはカーブを描いた銅板葺きの大きな庇が覆いかぶさり、それらの佇まいは来館者を迎えてくれるような印象を与えます。正面玄関の特徴的な縦格子状の門扉や庇の化粧部材にはブロンズが用いられています。

内部は、外周に配する窓を極力最小限に抑え、中庭にある外部吹抜から採光するという空間構成となっています。中庭の池には噴水が!そして空中にはブリッジを掛け渡しています!!昼間には晴れていると光と青空が水に反射して輝き、夕暮れ時には噴水がライトアップされ、展示室内やブリッジからその光景を眺めることができるようになっています。美術館全体は薄暗く、そして不思議な装飾的な意匠がまるで宮殿のような世界観です。内部にしつらえられた家具や調度品もすばらしいです!手すりやレリーフに施された意匠もなんかすごいです。

1階のエントランスホール天井はオニキスの光天井仄暗い灯りがまたいいですね。楕円型の大きな窓は庭に面しています。計画的には、地下1階と1階が展示室。そのなかでも主要な展示室は、吹き抜けのある地下1階にあります。2階の展示室は「サロンミューゼ」というカフェ、いや、喫茶店の雰囲気だな、そんな場となっていて、作品の鑑賞と同時に、お茶を楽しむことができます。展示室の中央に大きなゆったりとしたソファとローテーブルがあって、そこでお茶を飲みながら作品を鑑賞できます。贅沢です。逆に慣れないせいか、落ち着かないという(笑)。でも一度座ったらなかなか立ち上がれないという(笑)。地下2階はホール。この階段室もいいですね!その上昇感と薄暗さ、そして照明によるいい感じな陰影がとても印象深い空間を展開しています。

白井建築は鑑賞すればするほどはまります。なんなんだろう、白井建築中毒になってしまいそうだ。

建築:松涛美術館

設計:白井晟一建築研究所

建築作品をみた雑誌等:白井晟一(鹿島出版社)、白井晟一の建築Ⅱ(めるくまーる)

建築があった場所:東京都渋谷区

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