スーラージュ美術館~芸術家と建築家の対話と調和、そして敬意、生まれた空間~

フランス南西部のロデズという町、その町の中心にある丘に位置建築には、大胆な抽象的作品により1950年代初頭からアート界に影響を与えてきたピエール・スーラージュの作品が収蔵されています。そんなこの美術館にある作品の数々は、アーティスト本人とその妻によってフランスに寄贈された彼に関する最も重要なコレクションとなっています。2014年に開館した美術館のあるロデスという町はこの画家の生まれた地であり、そこには光の画家と呼ばれた彼の視点、手法、姿勢を培ってきた田園地帯、遠方に望む美しい山々であったり、地形であったりする風景が今も残っています。

建築は、その風景の中にそっと置かれ、静謐に対峙したコールテン鋼の建物が斜面から突き出ています。モニュメントのような赤茶色い幾何学的な箱による形状は、黒の太いラインによって構成されるスーラージュの抽象絵画が屋外に展開しているようにも感じます。建築家は、敷地にある公園とできるだけ干渉させないために、建物を公園の背後に配置し、斜面の一部に埋設したとのこと。

美術館は作品保護に配慮しながら、高さ、幅、深さが異なる不均一な5つのボリュームとそこを横切って小さなホールに通じるガラス張りの透明な廊下によって構成されています。5つのボックスに対して廊下部分の垂直な関係性がアクセントとなっていますね。ボックスを突き抜ける廊下の間から光やまちの風景を垣間見ることができる空間のシークエンスは、スーラージュの絵画に特徴的な光と影の遊びを表現しています。建築家は、さまざまな要件を満たし、このかたちによる美術館をつくるため、スーラージュ夫妻と多くの対話を重ねたとのことです。

美術館へのアプローチは、公園の蛇行する道を通り、片持ちキャノピーからチケットオフィスと書店がある入口ホールに引き込まれます。深い入口ポーチと南側のロビーからは、階段を経由してギャラリーレベルに降りて、小さなホールがあり、カフェやレストランにつながる橋にアクセスできます。 展示スペースには、背中に光から保護されたゾーンがあり、その中二階には紙による繊細な作品が展示されています。北側に向いた展示スペースには、修道院のステンドグラスの窓のスケッチや初期の絵画などの重要な作品が展示されていたり、または一時的な展覧会用のスペースとなっています。内部の仕上げは、無塗装の鋼板が使用されていたり、光沢のある素材が用いられたりしています。そこからなる光のコントラストを持つギャラリー空間の多様性は、作品をさらに生き生きと演出していますね。その暗くそして明るい表面からなる明快な対比は、静謐な雰囲気をつくりだし、白と黒などのシングルトーンの表現からなるスーラージュの作品と空間にしっかりとした対話がなされているように感じます。しかもなんでしょうね。彼らの建築からは、和っていうか、禅っていうか、侘び寂びっていうのかな。そこからくる落ち着きと強さを感じますね。この作品性が日本でも人気がある理由なのかな。書道っぽいテイストがあるスーラージュの作品とよく調和しています。

RCRの建築作品は、場所とそこにある物語に対しての徹底的な追求がなされています。それは歴史に対して大きな敬意を払いながら、現在と未来を映し出し、鉄やプラスチックなどの現代的な素材を創造的に融合させ、時代を超越した抽象と具象性、自然と人工の中間領域への探求が建築として表現されています。そこに私たちは感動しているのかなあ。と思ったりします。好きだわあ。この建築家たち。

建築:スーラージュ美術館

設計:RCR

建築作品を見た雑誌:a+u 20166月号

建築のある場所:フランス

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