ミュールマキ教会~北欧の透明な光と音楽的な天使による空間~

ヘルシンキ中央駅からVRという近郊列車に乗って、北のヴァンター市へ20分。ロウヘラ駅を出るとすぐ、白とベージュのタイルが貼られた縦長のフォルムの建物が見えてきます。市街地から離れた清廉な白樺の林に囲まれた環境にひっそりと佇む、フィンランドで最も美しいと称えられたその教会は、白樺の木々ように壁とスリット窓、そしてシンボリックな鐘塔が垂直方向に立ち上がっているのが印象的です。この建築の設計を行ったのは、フィンランドを代表する建築家ユハ・レイヴィスカ。その彼の代表作となります。

教会は、線路に沿った細長い敷地に対して、真ん中のエントランス、そしてそこを中心に向かって右側が聖堂。左側が事務所や集会所、神父室が入る平面計画になっています。教会のエントランスに足を踏み入れると天井は高さが抑えられ、外の緑を取り込む大きな開口が設けられています。

そして聖堂への白い格子の扉から中へ入ると、白い透明な光が満たされた静かな空間につつみこまれます。その神聖な光は、トップライトと壁にあるスリット窓から木漏れ日のように差し込む自然光と真っ白な壁に反射したやわらかな光によって生まれています。礼拝堂に光の帯が浮かび上がり、何重にも重なりあったとても美しい光景です。言葉になりませんね。といいながらも文章でこう書いてしまっています。すみません。白い十字架のある祭壇は、その横にある開口部から袖壁に反射したやわらかな間接光がまた美しいです。壁が光をとらえながら、奥行のある祭壇を演出しています。この建築はフィンランドの人たちにとって、とても大切にされている太陽の光をテーマにしています。建築も太陽の光に敬い、光を神聖に、そして美しく見せるための形に考えられていますね。

そして印象的なのが、レイヴィスカ自らがデザインした照明ですね!シェードを何枚も重ねられ、それによって光が反射し合い、神々しい輝きを教会内部に放っています。そしてそれらは位置と高さを変えて浮かんでいます。直線で構成された建築空間に対して、ランダムに配置されているようにもみえますが、緻密な計算がなされています。なんていったらいいんでしょうね。礼拝堂の一画に配置されているパイプオルガンがあるんですが、まるでそこから流れる音楽がそのまま音符に変換して空間を漂い、さらにそれが天使となって舞い降りてきている、そんな感じにも見えますね。音楽家でもあり、ピアニストでもあったレイヴィスカにとって、建築と音楽は最も密接な関係にある芸術であると考えていたそうです。まさにこの建築にはレイヴィスカが奏でる音楽が流れています!

建築:ミュールマキ教会

設計:ユハ・レイヴィスカ

建築作品を見た雑誌:a+u ユハ・レイヴィスカ

建築のある場所:フィンランド

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