北九州市立図書館~形式的だが優美なヴォールト空間!~

旧小倉城の再建された天主ががそびえる勝山公園。その一角にこの建築は位置します。かまぼこ形の断面をもった空間が湾曲しながら連続するチューブのようななんともユニークな建物。存在感がありながらもなぜか公園になじんでいるようにもみえるこの図書館は、1974年に建築家磯崎新によって設計されたもので、1970年代における磯崎作品の中でも代表作とされています。

敷地周辺には、先ほどの小倉城、そのとなりにはガラス張りの市庁舎、そしてその前には村野藤吾設計の小倉市民ホールがあります。形態や雰囲気が異なる3つの建物がかたちづくる最後のコーナーにこの建築が位置します。図書館は勝山公園の中の小高い丘の上に建てられていて、かまぼこ型の屋根を持つチューブ状の建物が、勝山公園のなだらかな斜面の上にに横たわっています。2本のチューブは延びていきながらそれぞれ異なる部分で湾曲し、直線側で背後に位置する公園と対面しています。2つに分岐しているそれらの空間は、アプローチの前庭を囲い、それは敷地に対面する城跡へも開いています。その形態が遠くからでも目を引きますねえ。屋根は銅版によって葺かれていて、今では緑青によって覆われていてそれがいい味を出しています。

この建物のプログラムは、3つの異なる施設が複合しています。中央図書館、歴史博物館、視聴覚センター、中央の結節部分が図書館となっていて、それぞれの端部が残りの施設となっています。ちなみに北側の棟は歴史博物館でしたが、現在は北九州市立文学館に変わっています。

緩やかな階段を上り、エントランスへアプローチすると、敷地の高低差に沿ってもうけられた床はスロープで連結されています。1階から2階まで、スキップフロアで徐々に高くなる図書室と閲覧室、その全体をオープンでゆるやかなスロープが気持ちいい。正面にガラスの開口部があり、そのガラス張りのスロープからは小倉城が見えます。

中に入ると、天井の梁が織りなす空間は圧巻です!エントランスの2階部分が閲覧室になっていて、湾曲するアーチが美しい陰影をつくりあげています。むき出しのリブが空間がまたいいですねえ。このヴォールトは11メートルあるスパンの連続体からなっていて、1/4円弧のプレキャスト・コンクリートを両側から3ヒンジで固定してかけるという工法によって成立しています。この工法は、直線部分には1種類の型枠、曲線部には2種類による計3種類の型枠のみ使用することでシンプルに構成されています。形式的につくられていますが、ヴォールトがゴシック教会みたいで、古典的、装飾的、有機的イメージをあたえています。それがうまいことなじんでいて魅力的な空間になっていますね。チューブ状の空間が湾曲していい感じの奥行きです。そして基壇部分は現場打ちコンクリート造となっていて、内部の変化する床レベルと、屋根架構のシステムを同時にまとめて調整できるメリットがあったとのこと。なるほど、このかまぼこ型の空間にはそういう意図もふくまれていたのかあ。そして旧歴史博物館のなかにはステンドグラスがあります。この円形のステンドグラスもいいですねえ。三浦梅園の「玄語」に付されている数多くの図式のパターンをモチーフにしたものであるそうです。

時代的に、増築を重ねて足していくメタボリズムと呼ばれる考え方がこの図書館にもあらわれていますね。このかまぼこ型アーチをどんどんと増殖させて、成長可能な建築へという建築家の想いが感じられますね。

建築:北九州市立図書館

設計:磯崎アトリエ

建築作品をみた雑誌:新建築197510月号

建築のある場所:福岡県北九州市

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする