サンタ・マリア教会~白という色に独特な表情をみせる空間~

ポルトガル北部の都市ポルトからさらに北東へおよそ60キロほど離れた人口6万人の小都市、マルコ・デ・カナヴェーセスにこの建築はあります。教会は小高い丘に位置し、その坂を上っていくと、青空のなかに真っ白な壁で覆われた不思議な佇まいの建物が現れます。それは白い直方体ボリュームの両端部分が円柱状に欠かれたような、そんな独特の形態をしています。

建築の外壁は、地面から腰壁辺りまで花崗岩でつくられた基壇で立ち上げられ、その上の壁はしっくいを施した中空レンガで仕上げられています。斜面に建っていることがわかる北側ファサードは、基壇のベージュ色の石と、真っ白な壁の対比が非常に美しいです。ベージュ色の花崗岩が布石となり、壁の白色がより一層光って見えます。それとは対照的に、巨大なエントランス扉のある南側は、なだらかな勾配のある敷地がそのまま広場になっています。既存の建築群による環境が、教会扉の前に祭礼的な空間をつくりあげています。敷地の斜面をうまく活用しながら、教会建物の北側にみえる崇高さと、南側にみえる親密さ、それぞれ対照的な表情が与えられていますね。

建築は、奥行きおよそ30メートル、幅と高さがそれぞれ16.5メートルの断面をもつ、シンプルな長方形の身廊が東西の軸となっています。この単身廊による構成は、伝統的な内部空間の配置に従っています。建築のプログラムは、教会と葬祭小聖堂、オーディトリアムと日曜学校、そして司祭館の3つによって構成されていて、それらが2階建ての建物のなかに分散して配置されています。

祭日にだけ開くらしい大きな扉の横には、通常のミサの時に使われる扉があります。そこから聖堂に入ると、天井が低く抑えられた小さなホール、そして左に曲がると、そこには白い壁と木製の椅子が並び、柔らかな光に満ちた、美しく、そして荘厳な空間に包まれます。外観と同様に内観も真っ白で、薄いベージュ色のタイル、濃い木の床、淡い白色の大理石らが絶妙なハーモニーを醸し出してこの聖堂内部の白を強調しています。

400席が収容できる聖堂には、南東の壁にある床面から1.3メートルほどの位置にある高さ50センチ長さ16メートルのスリット開口、北東側の曲線を描く壁面には天井面で切り込まれた3つの大きな開口、そして祭壇後方からの開口によって光が採りこまれています。

目線の高さで水平に細長く切り取られたスリット開口からは、教会の東側に広がる山並みの景色を一望することが出来ます。ポルトガルの強烈な日光を遮る最小限の開口部は、椅子に座ることで窓の存在を消して内向的な空間を演出し、空間を歩き回ると、人の目線の高さから視界が開け、外部とのつながりをつくりあげています。祭壇に向かうと左右非対称の空間が広がります。祭壇両脇にある曲線が、祭壇中央部へと視線が流れ込み、それがここちよい緊張感を伴いながら迫ってくきます。 祭壇は身廊の床レベルから45センチほど持ち上げられていて、コーナーが凸状に欠きこまれています。祭壇中央に開いている長方形の2つの開口も淡い不思議な光を放っていますね。祭壇に向かって左手の壁上部にある3つの深い窓から差し込んでくる柔らかな光もまた神々しいですね。内側に倒れこむように膨らんだ壁が平面のシンメトリーを崩し、ハイサイドライトからの光が、壁のふところ部分で反射をしながら天井を照らしています。時間の経過によって移り変わる光の表情が天井に表現されていますね。

そして振り返ると、高さ10メートル、幅3メートルの祭儀用の木製扉が!大きいなあ。中からながめるとそれがさらに誇張されているようだ!それが開かれる姿は圧巻です!!その扉のある入口部分には、洗礼堂がファサードに張り出され、それが外観をつくりあげているひとつの要素にもなっています。そしてもうひとつのボリュームは、側方からの日常の教会入口のロビーとなっていて、そこにはオルガン、そして鐘へのアクセス階段が位置しています。身廊の側方のエクステンションとして、片側には長方形の空間があり、そこには聖具室、登記室、告解室があります。

ここには毎年世界中から建築巡礼者が何万人と訪れています。このアルヴァロ・シザが設計した美しいまちのシンボルである教会を見るために。

建築:サンタ・マリア教会

設計:アルヴァロ・シザ

建築作品を見た雑誌:a+u 20004月号

建築のある場所:ポルトガル

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