川と漕艇の博物館~地域の抽象性と具象性を表現した建築~

イギリスはヘンリー・タウンの中心近くにあるテムズ川、その南岸に位置する博物館は、イギリスの建築家デイヴィッド・チッパーフィールド によって設計がなされた建築作品です。ここの地域は、彼の故郷でもあり、そしてこの建築は、彼が最初に手がけた大規模建築でもあります。そんなこの博物館には、漕艇に関する重要なコレクションをはじめとした、漕艇やテムズ川およびヘンリー・タウンの歴史の記録が所蔵されています。

建築は、伝統的な建築様式の再解釈、敷地環境からなる接地平面の高さ設定、そして透明なガラスに浮いている木のボートホールによってその特徴がかたちづくられています。建築の外観は、オックスフォードシャーにある伝統的な木造の納屋をおもいおこすような、傾斜屋根からなる形態となっています。その勾配屋根には、鉛をコーティングした素材によって葺かれていて、外壁には、一層部分はおもに透明なガラスが用いられ、その上部にはオーク材による羽目板が張られています。木は硬く、かつ年月を経ていい感じに風化していています。その素材感ある簡明かつ明瞭な佇まいは、現代的な建築でありながらも、地方にある伝統的な建築群と共鳴し、この建築の地域色を高め、周辺と調和しています。

博物館は、時折おこる河川の洪水のため、コンクリート柱によって接地面から浮かんでいて、その上に建物が置かれたコンクリート平板が乗っかっています。内部のギャラリーは、主に透明でオープンな1階部分と上部からの太陽光を取り入れた閉じられた2階部分によって構成されています。

1階部分の透明で開放的な空間には、1階ギャラリーとつながるエントランスフロアスペースやレストラン、奥には図書館と会議室などが配されています。川岸側にはオーク材で仕上げられていて、まるで船上のようですね。いや、日本のお寺の廊下のようでもありますね。そんな木のプラットホームと結びつながっています。内部と外部がつながって、さらに周辺地域の雰囲気がうまく連続して広がりのある空間になっています。樹木を通して川の方へ素晴らしい景色も望めます。切妻づくりのスカイライトで囲まれた2階ギャラリーには、直接外部へと出入りできるドアがあり、エイトおよびシングルスカルボートのの船体を搬入し、展示することができるようになっています。トップライトから降り注ぐ光がボートをほんのり照らしています。

なんていうんですかね。シンプルでとても秩序あるプランとなっていて、そこからなる抽象性と素材からなる具象性が絶妙なバランスで成立しているような感じがしますね!ポプラ並木を背に新旧の関係性が建築によって表現されている姿は、イギリスの美しい田舎風景を注意深く抽出しながら、地域と一体化しているように見えますね。

建築:川と漕艇の博物館

設計:デイヴィッド・チッパーフィールド

建築作品をみた雑誌:a+u 20043月号

建築のある場所:イギリス

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