ノルウェー野生トナカイ・センター・パビリオン~人と自然と対話する隠れ家!~

山の上のなだらかな高原に建てられたこの建物は、ドブレフエル国立公園に面したヒエルキンという山岳地帯に位置します。ここはヨーロッパで唯一残されたツンドラトナカイの群れの生息地となっていて、またジャコウウシや北極キツネなどの希少な動物の自然生息地となっています。2006年にはこれらの哺乳類の保護のためにノルウェー野生トナカイ基金が設立され、同基金によって野生トナカイ財団の教育プログラムの観察所建てられたわけなんですねえ。90平方メートルほどあるこの施設は一般に公開されていて、夏季は124時間開館しています。2012年にはな、なんとおよそ2万人のビジターを受け入れたとのこと。

この設計を手がけたのはノルウェーの建築設計事務所スノヘッタ。ちなみにこの彼らのユニット名称はドブレフエル山地にあるスノヘッタ山から名前をとったらしい。まさにこのプロジェクトにはうってつけですね!建物のコンセプトは、この場所を散策する人やトナカイ保護員、そしてピクニックしたい人が立ち寄って、ドブレフエル山地の自然美を楽しめる場所を提供するというものでした。 このあたりはきわめて厳しい天候に見舞われることも多々あるので、暖をとれる休息所は大事ですよね。

建築は堅固で端正な外側の四角い箱、そして内部に積層した有機的な木の集合体内部によって構成されています。パビリオンの外枠は鋼鉄製によるシンプルな形態。過酷な気候に耐えることができるように粗鋼でつくられたこの長方形の骨組みは、周辺の岩盤で産出される鉄をモチーフにイメージしていて、また建物のかたちはこの地方の伝統的な家屋にインスピレーションを得たものとのこと。

外観とは対照的な内部の有機的にうねったデザインは、デジタル化した3Dモデルによる検討によって洞窟内部のような木製建造物となっています。木を積み重ね、削りだしてつくられた木の構造物は、ハダンゲルフィヨルドの伝統的造船技師が、65cm2のマツ材のはりを杭でつなぎ合わせる手法によって制作されています。これ、木材の留め具には木釘のみを用いる伝統的な工法なんです!ノルウェーが誇る造船技術を応用してできているんですね!建築資材は地元の建築の伝統に関わるものを使い、そして新たな発想でその資材を生かしていますね。そんな頑丈かつ繊細につくられたこの建物は、見学者に広大で豊かな自然環境を静観する場を提供しています。マツ材の表面のうねりは、向かい合うドブレフエル山地の地形にも似ていますよね。山の地形がそのまま続いているようなデザインは、その中から望む風景と山肌が呼応しているようにも感じます。なじんだ外観とトナカイの群れが共存している風景がまたいい感じです!

見学者はここで山脈が織り成すパノラマを楽しむことができます。まさにそれは人と自然と対話するための魅力的な隠れ家となっていますよね!

建築:ノルウェー野生トナカイ・センター・パヴィリオン

設計:スノヘッタ

建築作品を見た雑誌:a+u 20122月号

建築のある場所:ノルウェー

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