ベル・リョク・ワイナリー~光と風と土、そしてワインの香りを感じる建築~

この作品は、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー建築賞を2017年受賞しましたRCR アーキテクツの設計によるものです!彼らはラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3名が1988年に設立し、共同主宰する建築設計事務所。ちなみにピジェムとヴィラルタは夫婦です。その拠点は、バルセロナからおよそ270キロも離れたカタルーニャ地方のオロットという小さな街にあります。その街は3人の故郷でもあります。ここ周辺には彼らの手がけた建築が点在しています。いやあ、それにしても自分の故郷である小さなまちから世界へ!かっこ良すぎです!!

彼らの建築の特徴としては、内部と外部の連続性を追求しながらも、その情緒あふれた豊かな空間体験にあります。そこは敷地の風景を深く考察してデザインを生み出していることが表現から伝わります。建築と敷地の関係、素材の選択、幾何学を駆使し、自然環境を生かしながらつくりあげている彼らの建築は私も大好きです。とりあげようと思っていたらこの発表。あ~、もっと早くにとりあげておけばよかったー。

てなわけでそんな素敵な彼らが設計し2007年に竣工した建築は、彼らの代表作のひとつでもある個人がワインを生産し、味わうためのワイナリーです。いいなあ。ワイン飲み放題じゃないすか!

敷地はスペインのパラモスというところに位置します。そこは山裾の森、海に向かって伸びる谷との境目にある人目につかない場所であります。周辺には山裾の礼拝堂など、性格が異なる建造物がいくつかある敷地となっています。建物の外観はコールテン鋼が大地に突き刺されたような感じです。ワイナリーの上にはぶどう畑が広がり、ジグザグの屋根の下には施設と通路があります。建築は、地面がさけたような割れ目の通路があり、それが進むにつれて屋根がつき、ぶどう畑の下をもぐり、櫛形状の平面をもつ地下に沈んだワイナリーになっていきます。

建物はワインのために気温を一定に保つ必要があるため、ワイナリー部分は年間を通して温度が一定な地下につくられています。外気との遮断は無く、大きな空間が1つあるかわりに狭い通路状になった空間が連続しています。そのため、それぞれの空間を順々に体験することができる空間になっています。なだらかに起伏するこの通路的な空間が魅力的な奥行きを生んでいますねえ。しかもこの洞窟のような環境は、エネルギーに負荷をかけずにこのような屋内の雰囲気をつくりあげていることにも成功しています。

内部は暗いのですが、しばらくすると目が慣れてきます。細いスリット開口から漏れる光の入り方が素晴らしいです。ぶどう畑と森の間にはテイスティングルームがもうけられています。そこへ進む通路の隙間からは風、光、雨が入り、太陽の動きにつれて影が変化します。そしてたどりついたテイスティングルームは鉄と石の空間が静かに孤立させた地下空間をつくりあげています。この雰囲気、いいわあ。ここで上質なワインを味わうわけかあ。最高だね!地上から沈んだこの地中の世界にひたることでそこには別の時間がながれているかのようにも感じます。この独特なものは、材料の選択によるものも大きいと思います。この材料の使い方も彼らの建築の特徴をよく表していますよね。なんですかね、彼らの作品には大地の香りが表現されていますよ!

建築:ベル・リョク・ワイナリー

設計:RCR

建築作品を見た雑誌:a+u 20141月号、 20166月号

建築のある場所:スペイン

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