在日クウェート大使館~ダイナミックな構造から生まれた豊かな場の構成~

JR山手線田町駅に程近い三田の聖坂の途中、幹線道路から一本奥にある通りに入るとこの不思議な存在感を放つ建築が見えてきます。この建物の設計を手がけたのは世界の丹下健三。丹下は数多くの大使館建築の設計を行っていて、この建物もその1つです。大阪万博をきっかけにして海外での仕事が中心となった丹下健三が、その1970年代に日本国内に残した数少ない建築作品のひとつとのことです。

外部から侵入されて制圧されないように複雑な内部構造となっているこの大使館という施設。 外観もなんだか複雑な構造ですねえ。まるでジェンガみたいだ。そのジェンガの途中のアンバランスさが印象的で、いくつかのボリュームが重ねられたすごい立体的な建築造形をしていて面白いです。建物の正面見上げるとなんだか上部が離れて浮いているように見えますね!上部と下部の空間ボリュームが切りはなされて2本の大きなコア・シャフトでもってキャンティレバーで支えています。このコア・シャフトが奥まった位置にあるため、このように一見建物上部が空中に浮いているように見えるんですねえ。なんでしょう。力技でやってやったぜ!という感じのダイナミックなデザイン。けっこう私は好きですねえ。かっこいいですねえ。

さて、なぜにこんなおもしろい形態にこの建築がなったのか。そしてなんでこんな難しい構造を用いて建築を構成しているのか。それはというと敷地が狭いなかで、大使館という用途に応じた設計がしなければいけなかったためです。そもそもこの大使館という施設は、各国の大使が業務を行う「官邸」というところと、居住するための「公邸」というところが分けられています。そこでこの狭い敷地のなかで大使館の官邸機能と公邸機能それらのスペースを明快に区分するために上下に分けた結果がこのような外観となっています。

さてさて、もう少し空間を見ていきましょうか。建物はそんな四角いふたつのボリュームが上下に分かれ、そしてつながっています。エレベーターなどが入った、樹木の幹のような2本の大きくそして太いコア・シャフトに枝や葉のごとく必要な空間が積み重ねられています。2つのボリュームは、間にスキマをとって、分離されています。下の方の閉じられた感じの部分が大使館の官邸。上の方の開放的で眺めの良さそうな感じの部分が大使の公邸となっています。そのすきまっていうんですかね。中間に空間が空いていて面白い形になってます。それによっていろんなところに空間ができていておもしろいですし、そこから生まれたこの空中庭園の空間がアクセントになっています。ちなみにあちこちにこのようなゆったりとしたテラスなどがつくられているのは、アラブの伝統的な建築様式を再解釈したものであるらしいです。まあ、屋上庭園ってあったりするからなあ。

いやいやそれにしても敷地やその用途に応じ、難条件から、その国の文化を尊重して、そこからさらに空間や技術としての質を高め、最終的に美しい建築へと昇華しています。さすがは世界の丹下健三!!

建築:在日クウェート大使館

設計:丹下健三建築・都市設計研究所

建築作品を見た雑誌:新建築19765月号、丹下健三(鹿島出版会)、丹下健三(新建築社)

建築がある場所:東京都

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