ネクサスワールド(レム・コールハース棟)~黒々とうねる重層長屋!!~

福岡市にあるこの建築群は、建築家の磯崎新によりプロデュースされ、世界で活躍する国内外の建築家6名を集めて競作した集合住宅作品群です。そのなかでも最も印象的なこの建物は、世界で最も活躍する建築家の一人であるレム・コールハースの日本唯一の作品としてバブル景気の真っ只中であった1991年に竣工しました。

その建物の道路に面した壁面は、緩やかに波打っています。そのボリュームのプロポーションがとてもおもしろいです。そこからもう魅力的です。うん、まずあの時代に日本人が考える建築ではないなというのが一目瞭然でわかりますよね!平面的にはその波打ったボリュームが東西に2棟連続して建物は構成されています。ちなみに構内道路を挟んで西側の建物が「レム棟」、東側の建物が「コールハース棟」らしい。

そして波打っている外観のなかでも、この2階部分の黒々とした重厚感あるボリュームが特徴的です。なんかゴツゴツしていてですね、城壁の石垣みたいな外壁なんですよ。これはコンクリートで石を型取りして、そこに黒く塗装を施したものだそうです。屋根も山並みのようにうねっていて面白い!この表現が非常に造形的で、そして挑戦的なデザインなんだよなあ。ネクサスワールドの他の集合住宅と比較しても、この建物が群を抜いて異彩を放ちまくっています。この石垣チックな外壁仕上げは、当初の計画で建物のうしろに建つ予定であった高層マンションの基壇として表現したかったいう建築家の意図があったそうです。なるほど、その建設ラッシュに対する皮肉もこめたデザインをしたわけだなコールハースは。ちがうか。しかしながらバブルの崩壊により、マンション建設は中止されてしまい、建築家の意図した風景にはならなかったわけですが。そんな個性ごりごりな2階部分に対して1階と3階部分はガラスが用いられながら軽やかにつくられていてその対比がよりこの建築造形を強く表現しています。

まあ、そんな感じで一見するとその外観のがつんとした強烈なインパクトから、ついそこに目が行ってしまうのですが、その閉鎖的な黒い壁の内側にとても気持ちよさそうな住空間があるんですよ。不思議と落ち着くとてもいい感じな空間なんですよねえ。1階部分のガラス張りは店舗スペースになっていて、それ以外はアプローチのスロープとなっています。このスロープの使い方もなかなかいい感じですね。さすがです!

住戸は垂直方向に3層ある構成になっていて、その垂直方向に沿って貫通する中庭が、光や風を内部へ採り入れる計画となっていて、それらのメゾネット住戸が建物内に並列して配置されています。1階の住居の外と内をしっかりと仕切る鉄格子を開けると、その空まで吹き抜ける中庭が来訪者をエントランスに導いてくれます。黒いボリュームの部分の2階には寝室、開放的な広いルーフテラスのある3階はリビングになっています。これは気持ちがよさそうです!各戸にもうけられたこの中庭は吹き抜けプライバシーをも確保しながらも住居の上下階のつながりをつくりあげています。中庭に面する大きな開口部が各部屋に開放感をもたらしています。

昔の長屋は住戸が一直線に連なるものでしたが、コールハースは前後左右に並ぶという高密度ぶり。日本の住宅文化を現代化し、まさに重層長屋として進化した集合住宅となったわけだ!他にも、エキスパンドメタルや土木工事などで使われるような素材をあえて使ったりしていますね。彼の建築に対するユニークな考え方や表現方法、そしてこういう表現がまたこの建築家の魅力あるところのひとつでもあるんだよな~。こういうところもまた影響を受けた建築家も多いはず。そのなかでこの時代にコールハースが日本に作品を残したという点ではかなりこのプロジェクトとして意義があったのかなあ。そして彼を指名した磯崎新という建築家の目利きという点でもいい仕事をしたなあと、その過去を見て私は今思うわけなんですねえ。

建築:ネクサスワールド(レム・コールハース棟)

設計:OMA

建築作品をみた雑誌:a+u OMA

建築のある場所:福岡県

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