レッティ蝋燭店~ランドマークの小品!~

この小さな店舗は戦後のウィーンが輩出した世界的な建築家ハンス・ホラインによる最初の建築作品です。建築はウィーンのブランド店が軒を連ねるコール・マルクト通りにあり、そこに面した古典的な石造りの建物の1階にその店舗建築はあります。その姿は古いウィーンの街並みにはめ込まれている、または街角の風景がそこだけ切り取ったような別世界の空間などという表現がまさにぴったりな佇まいです。

1964年から1965年にかけて作られたこの店舗のファサードはアルミニウムで覆われていて、開口部が鍵穴のようなT字型のガラス張りとなっている非常に斬新な雰囲気のデザインが際立っています。ウィットに富んだ街のアイコン的な存在となっていますね。当時の人たちはウィーンの歴史的街並みに突如現れた店舗のファサードに度肝を抜かれたんだろうなあ。このようなデザインを街の一角に挿入した革新性によって、この店舗は、小さな建築物にも関わらず建築界で注目を集め、ホラインは世界的に有名になりました。他にも近くのグラーベンに建つ、シュリン宝石店をはじめ、この周辺にはいくつかホラインによる店舗があります。これらもなかなかすばらしい作品です!

さて、もう少しこの建築を見ていきましょうか。古典的建物に埋込まれたアルミニウムの硬質なファサードは非常にシンプル。そんなアートのようなファサードは厳密な左右対象のシンプルな壁面構成で、アルミパネルを鍵穴のようなT字型くり抜いた開口部には、ドアと採光窓とエアコンがもうけられています。このT字型はスカンジナビア地方の火屋付き蝋燭の形をモチーフにしているそうです。すいません。そのろうそくを私はあまり知らないのでピンと来ないのですが、なんかかわいいですねえ。ドア上部には弓型をした金属板が設置されていて、それを支える柱や4つのショーウィンドウなどと共に優雅な雰囲気を放っています。アルミニウムを切り出してできたまるでプロダクトのようなデザインです。

店舗の大きさはたった3メートルの狭い間口と6メートルの奥行。そのさらに狭い入口を通り抜け、八角形になった平面のショールームに入ると、鏡張りの店内が反射して無限の奥行きといろいろな方向への広がりを演出しています。極小の建築ながら、そこには象徴性と仕掛けに満ちあふれていますね。小宇宙って感じです!

そんなある種まちにおけるランドマークとして、アートのような宝石のような佇まいをそのまま見せているホラインのこの建築作品。残念ながら蝋燭店は閉店してしまって、現在は外装はそのままで宝石店として営業されています。ちょっと寂しいですね。 そこに繰り広げられていた当時の蝋燭のディスプレイを見てみたかったなあ。

建築:レッティ蝋燭店

設計:ハンス・ホライン

建築作品がある雑誌等:a+u19852月臨時増刊号ハンス・ホライン、a+u20146月号

建築がある場所: オーストリア、ウィーン

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