サンモリッツ教会の改修~ミニマリズムが蘇らせた光のある居場所~

ドイツのアウグスブルクに位置するこの教会は、およそ1000年以上前に設立されました。その長い歴史のなかで、幾度もの戦火や災禍などにみまわれながらも改修を重ね、現在まで住民に聖なる居場所を提供してきました。そしてそんな教会をこのたび改修設計を手がけたのはイギリスの建築家ジョン・ポーソン。この彼独自がもっているミニマルな建築概念は、何度も改築が繰り返されたこの教会の内部から、余計なものを慎重に取り除いた白いミニマルな空間に変容させています。それはモダンな意匠でありながらも静寂で崇高な祈りの場として生まれ変わっています。

古めかしいバロック調の教会の中に入ると、そこには白く光にあふれた空間がひろがっています。祭壇がある後陣には、最も明るくなるように空間がつくられていて、訪れる人々の視線を奥へと導き、そして歩いていくことでそれが神へ少しずつ近づいていくような気持ちになります。いやあ、バロック式の歴史を感じる外観から中に入ると美しく洗練された内装に変容するこのギャップ!すごいなあ!!

そんなミニマムな教会の内部。より柔らかい光を教会内に拡散するために、窓ガラスの上に細かく脈のある半透明の白いオニキス石の薄い板が設置されています。これらは、直射日光を和らげ、イルミネーションのような幻想的な光に変換されています。教会内部にはこの最適な光の状態が空間に広がっています。床と祭壇はライムストーンで仕上げられていて、祭壇が教会の中で最も明るい空間となるための演出がなされています。そして横の通路部分な照明が抑制されていて、壁の上部の窓と壁面のアーチ型の窪みの中に並び立って設置されている使徒の彫像がまた印象的ですね。これも明るさに抑揚をつけるための一助となっていますね。そしてその存在は教会のバロック様式の過去を彷彿とさせる空間となっています。さらにダークブラウンの木材で仕上げられた信者席・合唱団の立つ台も、真っ白な空間と対比した強いコントラストを空間に放つことでより空間を際立たせているように感じます。そして夜になると、聖歌隊エリアや通路、そしてドーム内に設置されている間接照明が柔らかな光を教会の内部空間にもたらします。

ゴシックの教会のを装飾を極限まで排除し、線まで昇華して洗練させていったこれらの空間。自然の光と人工的な間接照明を織り交ぜていきながら、そこには建物の構造からなる空間の輪郭そのものが浮き立って構成されていて、不思議なリズムが空間にもたらされているような気がしました。そしてそこには人が集まって信仰が日常に根ざし、コミュニティーとなっているんですよね。はあ~!ポーソンのミニマリズムは、奥の深さを感じさせますね~!!。

建築:サンモリッツ教会の改修

設計:ジョン・ポーソン

建築作品を見た雑誌:カザベラジャパン835EL CROQUIS 158 John Pawson

建築のある場所:ドイツ、アウグスブルク

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