ラ・ グランハ・エスカレータ~歴史都市に刻まれたように存在する歩く階段!~

イベリア半島を流れるタホ川が大きく蛇行した場所にある中世の城砦都市トレド!そこは三方を川に囲まれた天然の要塞になっています。ここは「第二のローマ」とも称されたスペインの古都のひとつとして数えられていて、イスラム、ユダヤ、キリスト教の文化が混在して息づいたスペインの歴史や文化が凝縮された街です。その旧市街地には石畳の曲がりくねった狭い迷路のような通りが網の目状に走っています。そこには13世紀に建立されたゴシック様式のカテドラルをはじめ、古城アルカサルや16世紀後半あたりからこの街に住んだ画家エル・グレコの家など、その街全体が博物館とも言われるほど歴史的建造物がひしめき合っています。そして今では世界文化遺産にも登録され、世界中から多くの観光客が訪れています。

そんなトレドの街は、渓谷となっている自然の要塞の上に建てられた城壁なので、内と外とではかなりの高低差があります。それを、機能的にもデザイン的にもうまく解決したのは、この建築、いやこの屋外エスカレーターです。高低差 およそ36メートルを 6 基のエスカレーターによって結ばれ、ジグザグに分節されていて、それを乗り継いでいきます。古都の街にエスカレーターが整備されているとは驚きですよねえ。でも古都の風景をこわさないようになんともうまいこと古い城壁に納められていてですね、そこにモダンなデザインが調和していてとてもすばらしいんですよ!さりげないんです!

エスカレーターのエントランスには光が降り注ぎ、まるでアプローチへ誘い込んでくれるかのようです。エスカレーターの銀色と鋭くカットされたエッジがきいていて、そして構成されているコンクリートの質感も独特な感じになっていて、そこへ差し込むトレド特有の強い日差しがいい感じにマッチしています。エスカレーターという設備をこういうふうにデザインできるのは、ほんとすばらしいですね。最高です!

そしてこのエスカレーターの置かれ方もまた絶妙。エスカレーターなんて、そんなの普通は一直線に並べりゃあいいじゃないの。とまあ普通に考えると思うわけですが、設計を手がけた建築家はそこにホンの少しだけ角度を3次元的に付け、動きを出しています。そのちょっと角度が付いている事によって、自然に視線が外へと向くようになっています。移動空間の演出をドラマチックに演出しています。エスカレータを上り切った所には絶景が広がっていて、すばらしいシークエンスを展開していますね。しかもですね。その建築の造形っていうんですか、それがかっこいいんですよ!でももちろんそれだけではない。それは利用する際、恐怖感が抱かないよう、配慮がなされているっていうのもあると思います。人の目線を意識したクオリティの高いデザインですね!

この中世の城壁沿いに建設されたエスカレーターは、旧市街の遺跡や歴史的建造物のある風景と見事に融合しながら、新市街から旧市街への急な坂道への歩行を助けることで距離を近づけ、または街の交通手段や交通渋滞を改善するのに多大なる活躍をしていますね。そしてそれだけでなく、エスカレーターから、広がる新風景を楽しむことも可能にしています。古い建築遺産を単に修復、保存するだけでなくて、機能をふまえたモダンなデザインによって現代化され、それがきちんと都市景観として構築されていることに感動しましたね!

建築:ラ・ グランハ・エスカレータ

設計:ラペーニャ&エリアス・トーレス

建築作品を見た雑誌:a+u200112月号

建築のある場所:スペイン、トレド

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