愛知県立芸術大学講義棟~キャンパスの間の空間をつくりだすパルテノン神殿!~

名古屋市郊外の起伏の多い丘陵地帯に計画されたこの大学は、東京芸術大学、京都市立芸術大学に続く三つ目の国公立芸術大学として、1966年に竣工し、開学した大学です。

この緑豊かな自然環境の中にあるおよそ41ヘクタールもの広さがあるキャンパスは、高低差のある地形を出来る限り生かしながら、その自然形状を大きく変えることなく計画が進められました。配置されている建築群は、風景に定着するのびやかな構成となっています。キャンパスのひとつひとつの校舎は、建物自体ではなく、その「間」の空間にこそキャンパスライフが展開されるように配置され、ほかにはない独特なキャンパスの雰囲気があります。そんな森の中に個性ある様々な棟が点在していて、それをうまく回廊によってつないでいるんですよね。連続する丘と空へのひろがりをもった 風景と建築群が大きく育った樹木の緑と美しく調和しています。

その中心に配置されているのが、南北におよそ110メートルもの長さで延びる講義棟があります。この建築がキャンパスの中心軸となって、東側に音楽学部と西側に美術学部がその両側に分かれるという構成になっています。そして音楽学部と美術学部と結んで渡り廊下が設けられています 敷地の尾根に沿って建っているコンクリート打ち放しのピロティ建築の姿ははまるでパルテノン神殿のようにも見えますね。こんなに長いピロティ建築ははじめてみましたとてもシンボリックな建物です。設計に携わった一人である吉村順三は、このブログでも以前とりあげていますが 「軽井沢の山荘」という日本における木造住宅の傑作をつくった建築家です。そんな建築家がピロティと打放しコンクリートの組合せからなるがっつり戦後モダニズムみたいなシンボリックな建物を設計したのはなぜでしょうね。それくらいこの計画に強いおもいがあったのでしょうね。そして建物に描かれている画家片岡球子の壁画もとても魅力的です。

そんな1階のピロティはこの半屋外的な空間や 天井の高さや緑とのいい感じの距離感、いい感じに深みがでてきたレンガタイルなど色々な要素がリラックスできる学生の交流の場となっています。大学の文化祭では様々な模擬店が立ち並んだりしています。いいなあ。日差しをコントロールする縦ルーバーや自然換気用の小窓など、随所にエコロジカルな視点から採用されたであろう意匠もまた魅力を感じますねえ。

そんな吉村順三らが設計した建築群。近年における施設の老朽化により解体が検討されていました。残念ながら音楽学部棟は解体されてしまいましたが、解体に反対する声を受けて、なんとか他の建物の保存が決定したそうです。いやあ、良かった!これからも建物を上手に活用して残して欲しいと思います。

建築:愛知県立芸術大学講義棟

設計:吉村順三、奥村昭雄他

建築作品を見た雑誌:JA59 吉村順三

建築のある場所:愛知県

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