軽井沢千住博美術館~森の自然とアートが空間でつながる~

世界的に活躍する美術作家千住博氏。その氏による1978年から2011年にかけて制作された作品およそ100点を所蔵・展示する美術館です。この建築は、千住氏の「明るく開放的で、今までなかったような美術館を!」という要望に対し、建築家西沢立衛が見事にこたえて生み出されたまさにコラボレーション作品ですね。軽井沢の美しい森の中にアートと建築が一体となった空間は、創造的な新しい世界がつくりあげられています。

建物の外観まわりは、曲面を描くガラス張りとなっていて、周辺の風景、そして緑や光が空間内部に入りこんでいるような空間になっています。エントランスに入ると、千住氏の代表作「ウォーターフォール」が来館者を出迎えてくれます。

建物の構成は、既存敷地の地形に合わせ、ゆるやかに傾斜していくワンルームのような空間となっています。深く軒を出し、シルバースクリーンとUVカットガラスによって自然光をコントロールしながらも、軽井沢の風景や緑、光が室内に入ってくることで、まるで森の中を散策するように千住氏の作品を鑑賞しながら、豊かな自然を感じることができます。建物の内部なのに屋外にいるかのような気分になります。

そして傾斜地に建つこの建築の床がかなり特徴的!3.5メートルほどの高低差のある敷地をゆるやかに傾斜する床がつないでいます。もともとの軽井沢の緩やかな山肌をそのままコンクリートにした感じですね。そこに曲線で切り取られた山肌と樹木がそのまま中庭として残されていて、そこからも自然光が入り込み、美術館の床や作品を照らしています。傾斜を感じながら美術を鑑賞するというのは不思議な感じですね。作品はちゃんと垂直に展示されていますが、鑑賞者はかかとが下がっていたり、足の裏が傾いていたりする状態になっています。なんかトレッキングをしていて、滝のそばで休憩しているような気持ちになぜかなります。

建築といっしょに美術作品を行くと、独立した1つの壁に1作品という「独立壁展示」になっています。ひとつひとつの作品をじっくりと見ることができながらも、ワンルーム空間の連続性が生きています。特に印象に残ったのがこの二点の作品と空間のコラボ。ひとつはブラックライトによって包まれていた作品「ナイトフォール」。この作品は周期的に通常ライトとブラックライトの交互に照らされ、るのですが、ライトによってまったく作品の雰囲気が全然違うのが印象的でしたね!ブラックライトの演出もとても幻想的でした!そしてこの美術館のメイン作品である「ザ・フォール」!この作品は千住博の代表作で、その作品の前には本物の水がもうけられていて、まるで本物の滝のようです!!

自然のなかを歩いていて滝に遭遇するということが人の手によって、空間で感じることができるというなんとも不思議な新しい感覚。やっぱり建築とアートって相性いいんだなあ。そしてこれらを合わせながらデザインされることでこんなにも楽しい体験ができるんだなあ。としみじみ思いましたね!

建築:軽井沢千住博美術館

設計:西沢立衛建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:新建築201111月号

建築のある場所:長野県軽井沢市

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