レサのスイミングプール~海と一体になった建築~

アルヴァロ・シザの初期の代表作のひとつとして知られているポルト郊外のこの作品は、シザの生誕地マトジィニョスの近くにつくられた屋外プールです。海岸に面した場所にあって、現状の岩場を利用してつくられたその建築は、自然の景観に溶け込むような設計になっています。横が海水浴場になっているのですが、せっかく海があるのにわざわざこっちのプールに入る意味ってなんなんだ?とか思ってしまいますが。この海岸に面した大西洋。ことのほか荒々しくて、大きな波ががんがん押し寄せて、海で泳ぎたいけど子供が泳ぐのは危険な感じ、そして何より水が冷たく、海辺の風も強い。じゃあ海を眺めながら泳げるプールをわざわざ作っちゃおうかってことなんでしょうかね。

そんなこの市民プールとのことですが、私たちが知っている市民プールはそこにはありませんね。プールは既存の岩を残しながら必要なところに擁壁が配置され、海にそのまま連続しています。そのまま海で泳いでいるような気分です。そこはまわりと一体化していて、まるでごつごつとした岩場に海水が偶然にも溜まってしまった磯だまり。じゃあ、ここ、プールにしちゃおう!そんな感じにも見えなくもないです。プールは海岸沿いに建てられているのですが、景観を損ねないよう意識して設計されています。更衣室のある建物は、海岸に沿った道路と平行に建てられていて、道路側が高くなっているので、その高低差を利用してその屋根部分が道路の高さになるようになっています。なので道路からは全然目立ちません。これいいわあ。

さて、プールへのアプローチは、スロープから屋根下の空間にもぐりこんでいく感じになります。スロープを下った突き当たりが受付カウンターになっています。受付のすぐ横にはこのプールがシザの作品であることを伝える展示がなされていますね。現地の人にも愛されている建築であることがわかりますね。

そして受付カウンターの脇にある扉を通って、男女別になった更衣室に入ります。更衣室は柱や梁が木造できていて、それらが真っ黒にコールタールで塗装されています。特に照明とかはなくて、太陽の光が垂木のすきまから漏れ、それがあかりになっていて、けっこうきれいです。建物の天井は低く抑えられていますが、天井からの光が圧迫感を軽減しているような気がしましたね。

更衣室を出たところには待ち合わせスペースがあります。すぐには海を見せない建築によくあるじらしの空間になっています。プールにアプローチするとき迂回する折れ曲がった壁は景色を展開させるとともに防風壁にもなっています。海に開かれたカフェスペースもあってなかなか気持ちようさそうだ。壁の向こうに出ると、テラスがあって、その先はごつごつした岩場と砂浜、そしてプールがあって、さらにその奥には大西洋がひろがります。日本人の私としてはプールっていうか露天風呂感を感じてしまいましたね(笑)。

プールは子供用のプールと大人用のプールがあります。プールの水はな、なんと海水です!プールのすぐ近くにある岩場には波が打たれ、水しぶきが舞っています。なんとも自然ととなり合ったプール環境は迫力満点ですなあ。

そんなこのプール。なんでもこのようなかたちになったのは、市からの要望で、お金を減らすためだったそうです。そこでシザは岩場の一部を使って地形に組み込ませ、プール施設として機能するうえで最低限必要なコンクリート擁壁の設計としました。それによってコンクリート量を最小限に抑えることができ、工事費削減と同時に建物を景色に溶けこませることも実現したわけですね。それが功を奏したか、経年変化もあいまって、荒々しく打たれたコンクリートと岩が凄く自然にマッチしていていい感じでした。名作は制約があってこそ生まれるんですね!!

建築:レサのスイミングプール

設計:アルヴァロ・シザ

建築作品を見た雑誌:a+u アルヴァロ・シザ

建築のある場所:ポルトガル

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