京都府立陶板名画の庭~自然光による絵画鑑賞空間!~

この場所は、世界初の「陶板画」を展示する野外美術館として、世界的建築家安藤忠雄の設計により1994年に開館しました屋外庭園です。まず「陶板画」とは、なんぞや?これは、原画を撮影したポジフィルムをもとに、写真製版技術によって陶製板に転写したレプリカ画のことです。この技術は色を忠実に再現しつつ、変色や腐食がない保存技術として注目されています。ここでは世界の陶板名画8点が屋外庭園内に展示されています。このうちミケランジェロの「最後の審判」などの4点は「1990年国際花と緑の博覧会」に出品されたもので、ルノアールの「テラスにて」などの4点はこの施設のために新しく制作されたものらしいです。

建築は地下鉄烏丸線北山駅の3番出口からすぐのところにあって、緑豊かな京都植物園に隣接しています.。地上1階部分にはチケット売場とショップがあって、それ以外は地下にその存在をかくした、鉄筋コンクリート造地上1階、地下2階の建築?庭園?です。庭というと緑がすてきなガーデンみたいに聞こえますが、御影石の床、コンクリートの壁とガラスの手摺、水盤などで全体の空間が構成されている箱庭のようになっています。奥に少し見える大学や植物園の緑がコンクリートのグレーに対比されて、空間の存在感が引き立っていますね!まあそんな感じでこれからはこの建築は庭園と呼びながらはなしましょうか。

庭園は、ゆるやかなスロープで地下2階まで下りながらつながる回廊式の空間になっています。植物園の借景、大小の滝や池、デッキ、壁、円柱、ガラス手摺が交差しながら、自然光のなかでの絵画鑑賞を可能にした場となっています。

まず庭園内に入ってあっと驚くのが、水盤の底にに沈められたクロード・モネの「睡蓮・朝」ですね!きらびやかな睡蓮の花が水の中にぼんやりとある様子は、なんとも新しい絵の見方であるなあ。そして回廊を歩いて右に見えてくるのは、高山寺にある国宝であり、日本最古の漫画「鳥獣人物戯画」です。それを見ながらさらに奥へ歩みを進めていくと、滝の音が強くなってきて、その左を見るとミケランジェロの大傑作「最後の審判」がほぼ原寸大で展示されております。左右に滝が流れ、水の音が絶え間ない空間は「最後の審判」をなんとも厳か~に演出していますね。

スロープを降りた地下1階フロアの西側には、水の上に浮かんでいるレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があり、その神聖な雰囲気が空間に漂います。先ほど目にした「最後の審判」は中段の位置から鑑賞することができます。そのほかにもここのフロアでは、ルノアールやゴッホの陶板画を鑑賞することができ、その中でもルノアールの「テラスにて」では、鉄骨の額縁の外側にコンクリートの開口があって、それが通常の絵画鑑賞ではお目にかかることのない立体感がある表現になっています。おもしろい!

そして地下2階にたどりつくと、ようやく「最後の審判」を見上げることができ、その存在感に圧倒されます。いやあ、それぞれの陶板画を、それぞれに合った展示方法で見せたいという意図のもと設計がされていて楽しかったー!。

いやあ、レプリカではありましたが名画に感動ですよ!空間がその良さを引き出していると思います。たぶん地下に沈んでいく動線がいいんだろうな!外部であるにも拘らず、地中に埋め込まれた場所と流れ落ちる水の音に消されて通り沿いの喧騒がかき消されていく感じが最高です。たいがい美術館は絵画が建物の中ですが、こういった自然光がある外での美術鑑賞もなかなかいいもんです!

建築:京都府立陶板名画の庭

設計:安藤忠雄建築研究所

建築作品を見た雑誌:新建築19945月号

建築がある場所:京都府

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