モエレ沼公園~北海道の大地のスケールと連続するランドスケープ~

札幌市の市街地近くにある、ごみを埋め立てて造られたおよそ1.89k㎡ある広大な公園。この公園は、大地を彫刻する世界的な彫刻家イサム・ノグチの手により生まれたひとつの彫刻作品です。その広大な敷地には幾何学的な山や噴水、遊具などが配置され、自然と芸術が融合した美しい景観となっています。ちなみにモエレというのはアイヌ語で「静かな水面、ゆったりと流れ」とかいう意味である「モイレペ」から由来しています。

そんなモエレ沼公園、当初はモエレ沼の存続が危機的な状況にあったため、保全を兼ねた整備公園にしようと札幌市が1978年から着手することになっていました。ところが1988年に札幌市からのオファーを受けたイサム・ノグチが、公園の設計へ全面協力をすることによって、公園のコンセプトが大きく見直されたわけです。計画着手後ノグチは亡くなられましたが、一人の芸術家の熱い想いはマスタープランと模型をもとに関係者によって継承され完成に至り、ついに2005年にグランドオープンとなったわけなんです。計画から長い歳月を経て完成した、敷地も時間も壮大なプロジェクトだったのですね。

公園はノグチの構想からなる様々な建築や彫刻によって構成されています。まずは公園の入口から一番近い場所に建てられている「HIDAMARI」ですね。 ガラスのピラミッド状の建築となっていて、その特徴的な佇まいは公園の中心的な施設となっています。建物内部からは、夏は青空、冬には雪原がガラスをとおして映し出され、訪れた人たちが美しい公園の風景と一体になれるような空間となっています。またエコロジーの部分では、屋内には雪を活用した冷房システムが導入されています。

海の波しぶきを人工的に作り出す海の噴水も楽しい場所です。夜はライトアップされ、光と水による演出を楽しむことができます。海辺をイメージして造られた水遊び場であるモエレビーチは、吹き出し口より湧き出した水が波紋を描きながらサンゴで舗装された海辺へ広がっていくのがいい感じです。

テトラマウンドは直径2メートルのステンレスの円柱を三角に組み上げ、真下は芝生の小さな円い丘となっているモニュメントです。円柱の表面は特殊な研磨を施されていて、光を浴びると多彩に輝きが変化します。これはシンプルでありながらダイナミックな造形ですね!

モエレ山はゴミや残土を積み上げ造成された高さ52メートルある人工の山で、モエレ沼公園最大の造形物となっています。しかも札幌市東区唯一の山!登り口は5ルートあり、山肌を回遊するルートや、一直線のルートなどがあります。この一直線の階段によるルートは疲れますよー。山頂部分は札幌市内を見渡せる展望台となっています。冬にはスキーやソリ遊びができてこれも楽しそうですね!

プレイマウンテンは大地に直接作品を彫り込むというコンセプトのランドスケープアートです。瀬戸内海の犬島から運んできた花崗岩を積み上げた石段は99段あり、その斜面はピラミッドのようです。石段の反対側の斜面には、白い一本の道が頂上へと続いていて、緩やかなスロープをゆっくりと歩みきながら、山頂からの風景を楽しむことができます。これ好きだわあ。

モエレ山とプレイマウンテンの間にあるのは、アクアプラザと呼ばれる石の広場ですね。静かに湧き出す水が溢れてカナール(運河)へと流れていくのがいいですね。見ていて穏やかな気持ちになります。水深は40センチ程度と浅いため、夏には足を入れて涼むことができます。アクアプラザにある野外ステージはイベントに利用でき、中央部分からの緩やかな斜面に座って観客は観覧することができるようになっています。

いやあ、北海道という大地のスケールにふさわしいランドスケープデザインで、公園が連続した風景としてデザインされています。シンプルな造形でありながら多義的な意味をもつ壮大な環境彫刻の空間は、豊かな芸術性と絶妙なスケール感で成り立っています。広い公園に佇みながら、ノグチの巨大な彫刻作品の一部となってその自然と芸術の美しい調和を感じてみてください!

公園:モエレ沼公園

設計監修:イサムノグチ+イサムノグチ財団

設計統括/設計・監理 :アーキテクトファイブ

造園設計・監理:キタバ・ランドスケープ・プランニング

公園をみた雑誌等:

公園のある場所:北海道札幌市

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする