ゲーテアヌム~大地から空に向かってのびる建築~

スイスのバーゼル近郊、ドルナッハになんとも不思議な建物が存在します。この建築は有名な建築家が設計した建物ではなく、ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーが設計した宗教建築です。現在は、そこにはシュタイナーが創設した普遍アントロポゾフィー協会の本部と、その活動の中核となっている精神科学自由大学の本部が置かれています。ちなみにこの建築の名前はドイツの文豪、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテにちなんで名付けられたとのこと。周辺にはいくつかの散歩コースが整備されていて、シュタイナーが関わったとされる建築がいくつも点在しています。これらの建物も関連機関に使用されているとのことです。

さて、それらの中心として存在するゲーテアヌム。このゲーテアヌムという建築には第一、第二があります。この現存するゲーテアヌムという建物は、じつは二代目で、第二ゲーテアヌムとも呼ばれています。

第一ゲーテアヌムは、シュタイナーが外装・内装の設計を手がけ、特徴的な大小2つの木造ドーム屋根を中心とした建物になっていて、それら2つがつながったところに、長方形の建物が交差する形状をしていました。ドームの大きな方には900席の客席が置かれ、もう一方は舞台として用いられていたそうです。天井には天井画が描かれていて、壁面には大きなステンドグラスがあったそうです。1920年に完成しましたが、1922年に何ものかによって放火され、焼失してしまいました。

その後、1925年から建設が始まり完成したのが、現存するこの第二ゲーテアヌムです。これもシュタイナーとプロの建築家の協力を得ながら、設計が行われました。しかし、内装の設計を行う事なく、1925年の着工直後にシュタイナーはなくなります。建物は1928年には未完成ながら開館しましたが、1929年に完成にはほど遠い状態で第2ゲーテアヌムは一旦閉鎖され、その後、長い年月をかけてようやく完成となりました。焼失したのもあってか、今度は鉄筋コンクリート造となって対称的な建築になりましたね。コンクリートによる彫塑的な表情がとても印象的な建築です。第二ゲーテアヌムは建築史上最初の大規模鉄筋コンクリートの作品といわれています。内部は神秘的なステンドグラスによって、講堂、図書館、劇場等の機能空間が分節して構成されています。中央にある講堂はおよそ1000席の客席を持ち、第1ゲーテアヌム同様、その天井には天井画が描かれています。

いやあ、この建築、曲線が多く、その印象から自然的というかそういうものを感じます。とても感覚的な意匠になっていて、その表現から自由で力強い印象を受けましたね。う~ん、なぜ、この形なのだろう?あの時代にこの鉄筋コンクリート造の既成概念を打ち破る彫刻のような形。構造はどうなっているのだろう?という造形です。

そして内部空間もまた彫刻的で自由な造形です。内部の胎内をイメージしたピンク色の壁は包みこまれるような気分で落ち着きますね。天井にある照明は同じかたちでない五角形のかたちをしています。階段を見上げると。ピンク色から壁の色がだんだんと色が変わっていっています。ピンク色から、オレンジ色へ。もっと登るとオレンジ色から黄色へ。そして黄色から緑へ。そして一番上は天井に天窓があって、青い空があります。これは美しいです。それは人から自然へという表現がなされているのでしょうか。コンクリートの壁の重なりが強く大きく彫刻のように感じました。彫刻の中に入った気分ですね。美しいフォルムの空間です。

ゲーテアヌムをはじめ、ドルナッハにあるこれらの建物は、まるで大地から生えてきたようですね。建物であるのに、花や木が生きているように青い空に向かって存在して、それがファンタジーにも感じました。建築にファンタジーを感じたのははじめてだ!

建築:ゲーテアヌム

設計:ルドルフ・シュタイナーほか

建築作品を見た雑誌等:シュタイナー 建築 そして、建築が人間になる (著:上松佑二、筑摩書房)、MA1 モダン・アーキテクチュア 1851-1919 近代建築の黎明 (著:二川幸夫、ケネス・フランプトン)

建築のある場所:スイス、バーゼル

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