東京カテドラル聖マリア大聖堂~思想と技術を表現で超えていった荘厳な建築~

目白通りに面する椿山荘の向かい側にあるこの壮大な建築。世界的にも有名な日本人建築家・丹下健三の設計による代表作であり、国立代々木屋内競技場とならぶ傑作建築です。第2次世界大戦によって焼失した教会を復興する際ための設計競技を行い、1964年に完成しました。 一般的な教会のイメージとは結構異なりますよね。スケールが大きくて、そして形状もなんか複雑です。このカテドラルの設計にあたり、建築家は、長い歴史を持つカトリック教会建築の伝統を、現代の技術を持ってどう発展させていくか、そして日本にどう定着させていくかということをテーマにして設計を行いました。丹下氏は中世カトリック教会の空間から学んでこの空間がつくられています。

この建物はやはり屋根の意匠がすごい!屋根はHPシェル構造という8枚の屋根面のコンクリート壁が特徴的なカーブを描きながら垂直近くに立った構造です。そんな教会とは思えない特徴的な形状が圧巻の外観ですが、上空から見るとキリスト教の象徴である十字架が表現されています。この周囲より高くのびた垂直性はカトリックの精神を表しているとのこと。またHPシェルによる屋根の勾配は、周辺の日本家屋によるまち並みとの調和をもたらすためのものだそうです。外壁・屋根はステンレス鋼板仕上げとなっていて、これによる輝きは、人々の心を照らし出すキリストの光を表現しているとか。

聖堂へのアプローチは、道路から敷地に入り、小広場へ進み、聖堂の壁面に接し、鐘塔をみながらその間を進んで広場をとおっていきます。ヨーロッパの教会では人々は道路から広場そして教会へとアプローチしながら精神を高揚させて教会へと導かれます。歩きながら徐々に気持ちを整えていくとい日本の参道とここは同じですね。

内部は平面が十字型になっていて、ふくらみを持ったコンクリートの打放しの壁面が垂直に立ち上がって屋根になり上部がトップライトになっています。高い天井と、トップライトから降り注ぐ光は、空間を神秘的に彩られています。祭壇とその奥に見える高さ17メートルの大十字架は、その背後の窓から射す柔らかな光に照らされ、厳かな存在感を放っています。

そしてなんとも巨大で重厚感のあるパイプオルガンですね。聖堂内に響き渡る音色の残響がしみます。ここでは様々なコンサートイベントを行っており、カテドラル内部を彩る音と光の芸術を楽しむこともできるそうです。燃えるような赤、神秘的な青など、ライトアップされたカテドラル内部は光と音で彩られた神秘的で芸術的な様々な表情をみせてくれます。

このカテドラルではその当時のコンクリート技術を最大限に駆使し、この壮大なスケール感のある神秘的な空間からなる小宇宙を実現しようとしました。大変な施工だったろうなあ。

丹下健三は2005年に91歳で亡くなりましたが、葬儀はこの大聖堂で行われたのをニュースで見ました。自分が設計した建築で葬儀が行われるなんて建築家冥利につきるとはまさにこのことなのではないかなあ。そして50周年という節目をこの2014年に迎えた東京カテドラル聖マリア大聖堂。現在もその洗練された意匠は色あせることなく信仰する人々をはじめ、建築を学ぶ私たちを魅了し続けています。

建築:国立代々木屋内競技場

設計:丹下健三建築・都市設計研究所

建築作品を見た雑誌:新建築19655月号、丹下健三(鹿島出版会)、丹下健三(新建築社)

建築がある場所:東京都

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