ドミナス・ワイナリー~透過した石の環境体!~

お酒をつくる建物にも素敵な建築があるのを知っているでしょうか?今回ご紹介する建築は、ボルドースタイルのワインを製造している会社のワイン醸造所です。この場所ではワインの醸造から熟成までが行われていて、そこでつくられるワインは、その数多くあるカリフォルニアワインのなかでもトップクオリティを誇るものとなっているとのこと。飲んでみたい!そんなこの建物では、初期発酵が行われるタンク室、熟成される大樽貯蔵室、瓶詰めして木箱に梱包されて出荷まで保管される倉庫のおもに3つの空間によって構成されています。

建築は、およそ全長100メートル、奥行き25メートル、高さ9メートルのながーい長方形の建物がぶどう畑の真ん中にどん!とあります。建物はワイナリーの主要な通路をまたぐようなかっこうで敷地に配置されています。なので建物はブドウ畑の中央に配置されていて、その形態がゲートのようにも見えますね!屋根がかけられているそこの空間は広い空間となっていて、フロント機能をそなえた各スペースへの動線が交差したスペースになっています。

そしてここがこの建築の個性を魅力的にしている部分。それは、ファサードを形成する外壁に「蛇籠」と呼ばれるワイヤー製の籠に石を詰め込んで積み上げ取り付けているんです!この「蛇籠」というものは、河川工事の築堤土台用に考案されたものです。それを建築の外装に採用するんですよ。じつはこれ、いろいろな効果をもっているんです!詰められた石が日差しを遮りながらも、風を通し、室温や湿度をコントロールするんです。

この建物はアメリカ、カリフォルニアのナパ・ヴァレーというところにあります。ここの気候は昼と夜でその寒暖の差が激しく、その気候条件を建物にうまく利用できるように建築は考えられています。通常では空調設備によって温度調節が行われますが、この建物ではその壁を活用して温度調節が行われるようになっています。この不活性な建築の壁の断熱効果によって、室内が日中の暑さや夜の冷気からまもられています。すげえ!

中につめこむ石は、地場の玄武岩のなかでも新緑色がかった黒っぽいものを採用することによって、周囲の景観と調和するようになっています。そして籠のなかの石は、部屋の用途にあわせてその石の入れる密度を調整することで、壁に光を透過する箇所をもうけています。これによって、日中はその隙間から光がさしこみ、夜は中の光が外に漏れます。これがなかなかきれい!こんな建築的解決法があるんだなあ!!ワイナリーの機能や役割を、表層のデザインに変換しているというところが面白いですよね。重厚になる石という材料がこの手法によって建築を透過性ある存在にしている。その一見矛盾しているところもまた面白いです。石を詰め込んだ「透ける壁」で構成されているのですから。

むかしから利用されている石による蓄熱性をワインセラー機能としての環境制御に活用し、「蛇籠」という土木手法からのアプローチを行う。それが壁の量感と透過する光のファサードに結びつけるアイデアはすばらしい!その環境体として存在している建築は、カリフォルニアのおよそ2メートル程の高さまで成長したブドウ畑の風景と一体となっています。

建築:ドミナス・ワイナリー

設計: ヘルツォーク&ムーロン

建築作品を見た雑誌:a+u ヘルツォーク&ムロン

建築がある場所:アメリカ

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