シュレーダー邸~遊び心あふれる色彩と構成によるモダンハウス!~

ユトレヒトは、オランダ第4の都市、オランダの宗教において中心的な場所として美しい歴史的建造物が残っている街です。そんな街に建っている1920年に作られたこの建築は、その外観は、白・灰の面と黒・赤・黄・青の色使い、線と面による幾何学的構成がアンシンメトリーな形態でできあがっています。今の時代となってはまあいいんじゃない?と思うデザインですが、設計されたのは今から 100 年近くも前。それを考えるとかなり革新的なデザイン!建築は統一感のあるレンガ造りのタウンハウスが続く街並みに、20 世紀に建造された隣の伝統的なレンガ住宅に寄り添うように建っています。レンガ造の重厚なアースカラー色の外観と、モンドリアンの絵画を3次元で表現したかのような外観の対比がすごい!この邸宅が建てられたとき、近所の人たちは驚いたでしょうねー。

この建築を設計したのは建築家ヘリオット・トーマス・リートフェルト。家具職人からスタートしたリートフェルトは、その後画家のピエト・モンドリアンなどが参加していた前衛的な芸術運動「デ・ステイル」のメンバーとなります。このシュレーダー邸は、調和と統制の理想のあり方を追求する「デ・ステイル」理念を具現化した建築として初期のモダニズムに大きな影響を与えました。

インテリアも外観同様に黒・赤・黄・青・白・灰などの線と面によって構成されています。建物の面と線の構成による開口部はガラス面となり、レンガ造などでは得られなかった光と風、眺望、開放感が与えられています。クライアントであるシュレーダー夫人は、夫の死後、子供3人と住むための機能的で使いやすく、かつ小さいながらも開放的な住まいを建築家に望みました。1階にはスタジオ、書斎、キッチン、家事室、メイド室があります。様々な仕掛けによるインテリアが面白いですよね。キッチンに入るための扉はレバーなどで開閉できるようになっているし、空間を広く使うために折りたたむことのできる机もあります。また1階はパーティションで部屋を3つに区切ることができるようになっています。住宅の中央にあるらせん階段をのぼると、リビング、夫人の寝室、3人の子供たちの部屋がある2階の居室エリアになります。ここはスライド式の可動パネルを使うことで 3 つの個室とリビングに仕切られ、移動させると1つの広い部屋として使うことができるような仕組みになっています。 このパズルのように組み立てられた楽しいインテリアデザインは、家具職人であったリートフェルトと家具デザイナーであったシュレーダー夫人によるコラボが功を奏したみたいですね!それまでの住宅は部屋同士が連続性もなく閉鎖性の高い空間であったことを考えると、この住宅がいかに斬新であったかがわかります。

このフレキシブルな可動式による空間は、リートフェルトが興味をもっていた日本の建築様式にインスピレーションを得たといわれています。でもモダンなカラクリ屋敷というには恐れ多い、色、面や線が生み出す理念からなる空間造形、そして住むことに対する遊び心に満ちた建築となっています。あの時代にこの住宅が生まれたということに感動しました!

建築:シュレーダー邸

設計:ヘリオット・トーマス・リートフェルト

建築作品をみた雑誌:リートフェルトの建築(著:奥佳弥、TOTO出版)

建築のある場所:オランダ、ユトレヒト

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