リナー美術館~のこぎり屋根による光のグラデーション~

スイスのアッペンツェルはチューリヒから東におよそ100キロほどはなれた場所に位置する村です。ライツゲマインデとよばれる青空議会と派手めな色彩豊かなまち並みが有名ですね。その村にある谷間の街道沿い、小さな街外れの高台にアッペンツェル出身のアーティスト父子の作品展示のために建設された美術館です。

設計を手がけたのは、ギゴン&ゴヤー。彼らはスイス生まれの建築家アネット・ギゴンとアメリカ生まれの建築家マイク・ゴヤーによって結成されたチューリヒを拠点とするスイス人建築家ユニットです。箱形など、シンプルな建築形態に、特徴ある素材や色を使った表層にこだわった建築を追及している印象がありますね。ちなみにアネット・ギゴンはヘルツォーク&ド・ムーロンの建築設計事務所、マイク・ゴヤーはレム・コールハースの主宰する建築設計事務所OMAの出身。この経歴を見て作品を再び見るとほうほうとうなずく自分がいるのは建築の勉強の成果のあかしかな。まあ余計なことはさておいて。

敷地は広い牧草地の北端部にあって、その裏手は鉄道線路に隣接しています。何にもない田舎の土地にモダンな建築がポツンとあります。牧草地がある周りの農場の風景がとても美しいです。ハイジ的な牧歌的風景というかんじでしょうか。そんな場所にこの美術館はあります。

内部はこののこぎり屋根から落ちる光はほんとうに柔らかい。開口に背を向けて見ると光のグラーデーションをみることができます。外観のギザギザなのこぎり屋根ー。えー。そんないいかあ。なんて思っていた自分を恥じたい。今はむしろのこぎり屋根いい感じ最高。といいたい!そんなのこぎり屋根はこれらの光のとりこむのと他に、この地方のありふれた切り妻屋根をモチーフにしたとのこと。そして建物のファサードにあるこの開口ボリュームはキャンティーレバーで持ち出され、地面と切り離されているので、とても軽やかさを感じますねえ。この大きな窓は室内側からは風景を切り取るフレームとなります。壁面はつやのないブラストしたステンレスの鋼板で角型うろこ状に重ねて張って外壁を覆い尽くしているシンプルな構成です。 いい!

しかしスイスの現代建築家っていいなあ。有名どころでピーター・ズントーでしょー、ヘルツォーク&ド・ムーロンでしょー、そしてギゴン&ゴヤー。建築の現象とか素材への強い関心とそれらを反映する建築的表現。それは単なるミニマルな建築ってだけでなく、端正でありながら印象があって、心に強く残るものでがありますよねえ。

建築:リナー美術館

設計:ギゴン&ゴヤー

建築作品を見た雑誌:a+u 1998 12月号

建築のある場所:スイス、アッペンツェル

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