ルイ・カレ邸~人と自然にそっと寄り添うやさしい住宅作品~

アルヴァ・アアルトの建築といえば北欧フィンランドですが、こちらの建築はフランスにあります。フランスで現存する唯一のアアルト作品です。この建築はクライアントがパリで有名な美術商をやられている方で、晩年に奥さんとゆっくり過ごすために建てられたギャラリー兼住宅となっています。

パリ郊外のとても静かな場所にこの住宅はあります。大きな門を入って、木々に覆われた木洩れ日のなか、ゆっくりとアールを描く小路をのぼりきって森を抜けると、ぱあっと視界が開け、丘の上にこの住宅はあります。地形に沿うように傾斜した大きな片流れ屋根が特徴的ですね。建築のプロポーションいいなあ!低くのびやかな屋根が芝生の斜面と調和していて、周囲の林に溶けこむような美しいフォルムです。

エントランス上部にある格子窓越しには、あとでご紹介する内部のエントランスホールのうねった断面形状が見えて、中に入る期待感が高まりますね。エントランスの反対側は丘の傾斜に合わせて、石板で段をつけてあります。等高線みたいですね。小さな円形劇場もあって、おや?プールもあるぞ!

エントランスに入って、地形にあわせて数段階段を下りていくとリビングにつながります。天井はゆるやかな曲線を描きながら連続しています。この断面形状は、人が拳をにぎったカタチがモチーフになっているとのこと。へえ~、拳、なんでだろう?小さなうねり大きなうねりと連続している天井は、階段を下りきるとフラットな天井に連結し、その天井高さを変えながら窓と連結します。そして窓は森へとつながっていく。ああ、そうか!アアルトはこの天井の連続性、内から外に対する連続性をつくりたかったのだなあ!!このように視線は大きく天井を仰ぎながら、リビングルームへと流れます。そして動線も空間の開いている方向や明るさに誘われながらリビングへ向かいます。 ステップフロアによる、ゆるやかなゾーニングと変化のある動線、空間の広がりが生まれています。

クライアントは、たくさんのコレクションをこの家に飾るため、この住宅の壁を美術館の壁のように真っ白にしていました。エントランスホールの壁にも当時は絵画が飾られていたようです。だから展示品へ配慮した北側の窓からの採光となっているんですね。

ダイニングには自然光と照明による人工光の組み合わせによって、展示作品を鑑賞できるスペースがあります。玄関側の壁面には天井からの自然光が入りこみます。そしてこのつり下がってるペンダント照明の仕掛けが面白い。壁に絵画が飾られていたので、テーブルと壁と両方に光が当たるように下向きと横向きにも穴があいています。

それぞれの部屋はそれぞれに外部と関係性を保ち、開口部の取り方、大きさ、向き等が計算されいますね。丸型の天窓や白い壁の反射による採光、また少し小さめな肘かけ窓や腰窓。一番おいしそうな風景を窓のフレームによって切り取っています。和風の格子戸や、寝室の引き戸などもどこか和を感じるデザインですよね。なんでだろう。アアルトは日本が好きなのかな。それともフィンランドの建築がもともと日本の建築と近いものがあるのかなあ。

そしてドアの取手、金具もまたいいですねえ!ひとつひとつアアルトがデザインしたそうです。部屋の用途に応じた取手の形になっています。家具もインテリアデザインも手がけるアアルトによるもの。人の手が触れる細かなところまで、すべてアアルトによってデザインされています。自然の素材を上手に使いながら、一見なんでもないように見える普通がとてもに贅沢に感じてしまうんですよね!

生涯の設計活動を通して、アアルトは人や自然に寄り添う建築を生み出し続けました。アアルトの建築には、住む人への優しさが感じられますよね。

建築:ルイ・カレ邸

設計:アルヴァ・アアルト

建築作品をみた雑誌等:アルヴァ・アアルト光と建築(petit)、GA10 アルヴァ・アアルト ルイ・カレ邸

建築のある場所:フランス

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする