ベルリン新博物館~新旧の建築が語りかける歴史~

この建築は、シュプレー川中洲ミッテ地区の博物館島を構成する5つの博物館の1つです。博物館島全体が1999年にユネスコ世界文化遺産リストに登録され、歴史的にも興味深い場所ですね。

1841年から1859年にかけて建てられたこの博物館の建物は、第二次世界大戦の攻撃によって深刻な被害を受け、戦後も修復されずに閉鎖状態にありました。そして1990年東西ドイツの統一によって、ようやく修復計画が本格的に始まりました。改修設計はイギリスの建築家デイヴィッド・チッパーフィールドが手掛け、2003年に工事がはじまりました。そして2009年というベルリンの壁崩壊20周年の記念すべき年にオープン。およそ70年ぶりの再オープンです!

修復された新博物館は総床面積およそ8000平方メートルで、4階建ての建物におよそ9000もの芸術品が展示されています。展示品は考古学や民俗学の分野がおもなものとなっていて、「王妃ネフェルティティの胸像」は古代エジプトのコレクションの目玉として一室が充てられています。また最も古い展示品は、70万年前の石器時代の火打ち石で、そして最も新しい展示品は東ドイツが西側との境界に張りめぐらせた鉄条網の一部とのこと。振り幅すご!

このプロジェクトの最大の使命は、第2次世界大戦の破壊後に残っていた部分を修復し、復元することでした。このプロセスは、修復、保全、復元、再建という多面的な作業が必要とされました。そしてさまざまな保存状態の歴史的背景を尊重しながら空間的な文脈と重要性に配慮し再構築されています。新旧のコントラストが絶妙にデザインされ、現代建築、修復と芸術が見事にミックスされひとつの建物として再構成されています。

中庭だった場所の展示空間。サイドの展示室には、丸いトップライト。レンガで積み上げたドーム天井はリサイクルされたハンドメイドのレンガで作られていて、空間それ自体が、美しいです。新しい展示室は白いセメントと大理石チップを混ぜたコンクリートでできています。その表面による質感の違いで様々な表情をしています。新しいメインの中央階段室は、複製せずに新しい建築家によるオリジナルのアイデアで構成され、元の装飾がない煉瓦のボリュームとしてのみ保存されている壮大なホール空間の存在は圧巻です!

傷がそのまま残りながらも戦争の災禍を生き延びた部分や装飾は丁寧に修復保存され、失われてしまった部分はシンプルで抑制された美しくモダンな素材で繊細に補填されています。素材とその質感、色などが複雑に重なり合いながらも絶妙な美しさハーモニーとなっています。それは建物のこれまでの痛ましい歴史を語っているかのようにも感じます。

展示品は訪問者にその物語を語り、それらを収蔵する建物は自らの過去を物語ることで、戦争で失われたものの再構築への不可能さがというものを表現しながら、決して同じ過ちを繰り返すことのないように訪問者に訴えかけているようです。博物館自体をそこで展示する品々と同じように修復するというありそうでないコンセプトは、とてもシンプルなようでとてもむずかしいことなのだろうなということがわかります。展示作品と展示空間の共存からなる歴史を物語る空間プレゼンテーションとして表現したかったのだろう建築家の意図を感じました。博物館という機能用途をこえた建築が語りかける平和への声明を訪れる人は展示作品を鑑賞しながらも感じてほしいです。

建築:ベルリン新博物館

設計:デイヴィッド・チッパーフィールド

建築作品をみた雑誌:a+u20043月号

建築のある場所:ドイツ、ベルリン

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