聖ベネディクト教会~風景とともに存在する神聖な光の空間~

スイスの山間にある村の人々のための教会です。小さな建築でありますがズントーの代表作でもあります。 やはり彼のつくる建築作品は職人的な細部の美しさがありますよね。この建築にもそんな彼のこだわりがつまりつまっています 。

教会はクールから西へおよそ80キロほど行ったスンヴィッツという小さな村にあります。な、なんと村は人より牛の数が多いらしいです。。スンヴィッツ駅から1時間ほど山のほうへと登っていくと山の中腹にある傾斜地にその建築は姿をあらわします。ノアの箱舟をモデルとしたらしく、船のかたちをしたというか、まるで村に根付いた煙突のようですね!そんな特徴的な外観の教会。でもですね、なぜかその姿はまるでずっと昔からその場所にあるかのように見えるんですよね。地域の木材を繊細にうろこ状の重ね張りとした外壁、そこからなる外観はとても美しく、その素材感によって建築の表情をとてもやわらかく見せています。壁面は年月を経て味わいがでています。太陽の日差しを受けてほどよく焼け、雨水の滴りや冬の積雪によるあとなどが定着し、いい感じの風合いです。周辺の家々を見下ろすように存在するこの建築の佇まいは、アルプスに囲まれたこの地域の美しい風景と一体化しています。

小さな木造の教会の内部は、上部の開口から光が入るだけです。箱舟と木の葉をイメージしたというこの内部空間は船底のような木組みが天井を支えています。そこには教会によく見られるステンドグラスのような装飾的なものはなく、光の合間から見え隠れするのは空の色や、周辺の緑のみが存在するだけ。ズントーならではのストイックな空間です。空間に静寂と落ち着きをもたらしてくれます。

その木の葉状に組まれた梁を浮かせたハイサイドライトから降り注がれる光が印象的ですね。祈りの空間をハイサイドライトからの光で演出しています。円錐形の建物のなかは、刻々と変化していく光の表情がとても美しいです。

柱と屋根を壁はハイサイドライトから分離して取り付けられ、シルバーの壁に木の構造材がアクセントとなり、その壁に影が落ちています。ハイサイドライトは手前の柱が浮いていることで独立しているように見え、窓の縦桟が光によって飛ばされ光のみを感じます。壁はシルバーに塗装されているのでハイサイドライトは光の帯となって抽象化され、その光によって土着的な素材でできている小さい内部空間にひろがりと神聖さが与えられています。

小さな建物ですが、村の教会としての威厳を保ちつつ、風景の中に溶けこんだ詩的な美しさがありました。何よりも光が祈りの空間として抽象化され、建築というフィルターを介して神聖なものに変換されていることに建築というものをすばらしさを教えてもらったような気がしました。

建築:聖ベネディクト教会

設計:アトリエ・ズントー

建築作品があった雑誌:a+u ピーター・ズントー

建築のある場所:スイス

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