昨雪軒~端厳な和の空間領域からなる佇まい~

みなさんは孤高の建築家と呼ばれた白井晟一の作品が秋田県の県南部に数多く存在しているのはご存知でしょうか。彼は子供のころ秋田県に疎開してたとか。おそらく親戚がいらしたのでしょうね。青森県の弘前市に前川國男の建築が多いのと似た感じなのでしょうかね。

そんな彼の建築群のひとつとなる住宅建築が秋田県の横手市という場所にあります。この住宅、道路からですと塀と門屋しか見えないのですが、門屋をくぐると前面に広々とした石庭を持った純和風な佇まいがあらわれます。その姿は一見、なんか寺院の僧坊を思わせますよね。なんとも独特ですよね~。

玄関へのアプローチは細く、狭く、そして暗い、まさに建築の王道を行くアプローチとなっています。そして一転して素晴らしい庭が目の前に広がります。期待感を感じさせる素晴らしい構成ですね。さすが!玄関まで続いていく庭は、ゆっくりと回り道をするかの如く、一歩一歩がその見る角度を変化させます。床は低く抑えられています。門から住宅をながめると高低差があり、それを葛石を複層扱うことによってその差を吸収させています。住宅の方が一段高くなっていて、そのため軒の高さがとても低く感じられますね。玄関に近づくにつれ、包まれるような心地よさを感じます。このアプローチが様々な様相でそこに住む人を出迎えを想像させます。施主、そして住宅の来訪者との関係性を緩やかに受けとめ、一つの中間領域となっています。庭のもみじが紅葉しているとこれまた美しいんですよ。塀の中の庭に落ち葉が散っている様は風情があります。

住宅外観を見ると、白井晟一の住宅によく見られるむくりのついた方形の主屋根と、軒破風のかすかな照り、これを支えている前庭へと流れている日本瓦( 現在は葺き替えられてしまっています )の大きい下屋部分が庭の外部空間を端厳な存在にしています。秋田杉による内外ともにうづくり仕上げとなっていて、犬走りや玄関土間などには天然スレートが敷かれています。そして京都の町家を思わせる連子格子の開口が空間をひきしめているようにも見えます。昨雪軒はコンクリート建築でありながら、開口部を工夫することによって、木造建築のような空間のクオリティを実現しています。

そんな白井建築、じつは、秋田ではその建築群がどんどん解体されてしまっています。何とか残ってほしいですよね!

建築:昨雪軒

設計:白井晟一建築研究所

建築作品をみた雑誌等:白井晟一(鹿島出版社)、白井晟一の建築Ⅴ(めるくまーる)

建築があった場所:秋田県

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