名古屋大学豊田講堂~品格あるモダニズム建築の大学ゲート~

キャンパスへ行く門を入っていくと、なだらかな斜面の先には広場を介してこの建築が見えます。この建物はたとえば東京大学でいうところの安田講堂みたいな存在なのですかね。1960年に竣工され、トヨタ自動車から寄贈された建物です。設計は建築家槇文彦。この建築は、彼による日本で最初の設計となったもので、この建築でな、なんと1963年の日本建築学会作品賞を受賞しています。31歳のときに竣工して、そんでいきなり日本建築学会作品賞を受賞しているんですよ!しかもこの建築は戦後のモダニズム建築の傑作と評価されているという。すごいですよね!!

この建物は講演や集会などが行われる機能をもった大学の中心施設です。何だかキャンパスのシンボル的な存在というか、そんなモニュメント感ある建築となっています。敷地の背後には森があって、前面には帯状の緑地広場、そしてその両側には大学の校舎群があります。これらからなる敷地に対して建築家は、講堂をゲートとして構想しながら緑地による軸を受けて、背後の緑に視線をさあっと抜くという設計を行いました。内外はともにコンクリート打ち放し仕上げとなっていて、なんか当時の若手建築家がつくりました的なフレッシュさよりも成熟した洗練からなる落ち着きを感じますよね。建築に品格があるって感じかな。

空間構成としては、中央に大きな空間であるオーディトリアム、そしてその両側を開放的な列柱からなる空間を配置しています。その佇まいは凛としていて風格がありますよね。列柱からなるピロティとなったテラスには、背後の森によってとても魅力的な場所が創出されています。このコンクリート打放しの列柱、ボリュームのわりに細いよなあ。その細さは、重厚なコンクリート打ち放し空間となった建物を軽快にしています。細くするのに多くの検討や苦労があっただろうなあ。

そしておよそ3層分にも及ぶ高さを持ったエントランスポーチから建物の内部に入ると、空間は一転して天井高さの抑えられたエントランスホールとなります。その奥にはまた大きく吹抜けているホワイエ、さらに奥へ進むにつれて縦方向に空間が伸縮していたりしています。奥行きのある空間が見え隠れして、奥へ奥へと誘われていきますね~。そのスケール感はまるで都市の中を歩いているような感じです。大学キャンパスにうまくスケールがうまくあわさっているような感じがしますね!

そんな豊田講堂も50年近くが経ち、最近になって改修がなされました。解体して新築しようという声も多くあったようですが、この建築を高く評価する人たちの活動によって、その価値が理解されたようです。よかった~。戦後のコンクリート打ち放しの建築は、経年変化とともに黒ずんで汚く見えたりもするからなあ。一般の人たちにはその見た目で判断されてしまいますよね~。改修では、古くなった外装コンクリートの打ち直しと内部の設備、そしてホール機能の改善とアトリウム空間の増設が行われています。その設計はもちろん槇文彦!自分が若いころ建てた建築をこうやって改修にたずさわるということは感慨深いだろうなあ。

そして日本の技術もすごい!たとえば外装のコンクリート打ち放し部分の打ち直し。コンクリートのの打ち増し幅を最小限に留めたその技術は、打ち増したことがほとんどわかりません。もとの建物の軽快さを失うことなく、豊田講堂のコンクリート打ち放しという意匠のアイデンティティを維持しています。いやあ、すごい!

さらに講堂の前面広場の東側にあるシンポジオンと呼ばれる国際会議施設(1992年竹中工務店設計)との一体化も当初の設計者と改修の設計者が同じでなければできなかったことでしょうね!このシンポジオンと講堂の間には中庭がありましたが、アトリウムを増築してつなげ、広場へと有機的に一体化させています。それによって講堂とシンポジオンがさらに多様な機能をもつようになりました。

この豊田講堂改修事例が、解体されつつある多くの戦後モダニズム建築の保存改修に一石を投じることになったらいいなあ!

建築:名古屋大学豊田講堂

設計:槇総合計画事務所

建築作品を見た雑誌:新建築19608月号、20087月号

建築がある場所:名古屋市

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